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試写室・劇場から

The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

7月21日(土)からT・ジョイ京都で公開

©2011 EuropaCorp-Left Bank Pictures-France 2Cinema

その強い使命感を支えた夫の愛、家族のきずな

ビルマ民主化運動のリーダー、アウンサンスーチーが、15年にもわたる拘束と軟禁生活を解かれたのが2010年、そして今年、24年ぶりの出国が実現した。何という長い時間だろう。その美ぼうと意志力を指して、“鋼鉄製の蘭”と呼ぶ人もいたが、彼女の闘いの陰には、それを理解し、後押しした家族の歴史があった。

建国の父として尊敬されているアウンサン将軍の娘であり、知性も、民をひきつけるカリスマ性も併せ持つスーチーは、軍事政権から徹底的にマークされる。英国人の夫マイケルや2人の息子から遠く離れた生活、だが、一度ビルマを出ると、彼女の帰国は許されず、軍事政権の思うツボ。このあたりのかっとう、怒り、悲しみを、リュック・ベッソン監督が激動の歴史とともに描く。妻と一緒に闘う姿勢を貫くマイケルの言葉や、ノーベル平和賞受賞式で代わりに長男がスピーチをする場面など、思わず涙がこぼれ落ちる。

アウンサンスーチーが乗り移ったかのようなミシェル・ヨーの存在感!マイケル役のデヴィッド・シューリスも好演している。言論の自由や人権が踏みにじられる国にあって、希望を忘れず、闘い続けた彼女の失われた時間は、“誇り高き時間”となって、世界史に刻印されたのだ。

(ライター 宮田彩未 

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