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美と健康の大切なカギ あなどれじ!呼吸のチカラ

美と健康の大切なカギ あなどれじ!呼吸のチカラ

息を吸って、吐いて…。私たちが、ごく当たり前に繰り返している呼吸。しかしこの呼吸の仕方が、美容や心身の健康に影響を及ぼしているようです。そこで専門家に、呼吸にはどんな力が秘められているのかを聞いてみました。

呼吸はシェイプアップに効くの?

ラクトスポーツプラザ トレーナー 山本享平さん

教えてくれたのは
ラクトスポーツプラザ
トレーナー
山本享平さん

最近、「ロングブレスダイエット」と呼ばれる、 呼吸の仕方に着目したシェイプアップ方法が注目を集めていますね。

その基本的な内容は、息をしっかりと吐ききりながらエクササイズを行い、引き締まった体を手に入れようというもの。しかし、なぜ息をしっかり吐くことが、ウエスト引き締めなどのシェイプアップにつながるのでしょうか?

「まずは、筋肉の説明からしますね。ポコンと出たおなかを引っ込める際に重要なのは、腹横筋と呼ばれるインナーマッスル(内臓周辺の筋肉)です。しかし、このインナーマッスルは体の奥にあるため、一般的な腹筋運動では鍛えられにくいのです。そこで、代わりに活躍するのが深呼吸です。腹式呼吸でしっかり息を吐きながらエクササイズをすれば、インナーマッスルを収縮させ、鍛えることができるんです」

つまり、息を吐ききることで、通常の運動では動かせない筋肉を効果的に動かせるというわけ。

「インナーマッスルを鍛えることで、代謝が上がり、脂肪が燃えやすい体になります」

息は“ちゃんと吐く”ことが大事

息をしっかり吐くことで、インナーマッスルが効果的に鍛えられるということですが、息を吸うときよりも吐くときが重視されるのはなぜ?

「一つ目の理由は、吐くときのほうが、吸うときよりも運動量が多いからです」と山本さん。

「また、息をしっかりと吐ききると、吸うときの呼吸も自然と深くなります。そうすると、新鮮な酸素が全身に行き渡り、脂肪が燃えやすくなるというわけです」

そして、息の吐き方が大切な二つ目の理由は、息を吐くときに体の力が抜け、筋肉がリラックスするからだとか。

「ストレッチを行う際などは、息を殺し、力んでしまうと、筋肉が硬直し、うまく力が抜けなくなってしまいます。こうなると、柔軟性向上などの効果が得られません」

ちなみに、理想的な呼吸の仕方は、息を吸うときにはおなかをふくらませ、吐くときにグッと引っ込める腹式呼吸。そして、吸うのは短く、吐くのは長めに、だそう。

「3秒間鼻から息を吸い込んで、7秒間かけて口から出すのを目安にしてくださいね」

それでは2ページ目では、この呼吸法で行う、ポッコリおなかが気になる人におすすめのエクササイズを紹介しますよ。

呼吸と筋トレの関係
医師はこうみる

口をすぼめ、細い息を吐ききりながら筋トレを行うロングブレスダイエット。「このエクササイズ、呼吸器疾患を診察している立場から見ても興味深いですね。というのも呼吸法が、肺に疾患のある人のそれと同じなんですよ」と「おがわ内科呼吸器内科医院」の院長・小川栄治さんは言います。

「COPD(慢性閉塞=へいそく=性肺疾患)という病気をご存じでしょうか? 喫煙が原因で肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気で、以前は肺気腫といわれていました。初期症状の一つに息切れがありますが、これは肺での呼吸が難しくなるからです」

健康な人は、それほど意識しなくても十分に呼吸ができますが、COPDの人は、肺がうまく機能しないため、呼吸の際には肺を囲んでいる肋骨(ろっこつ)や肩などを動かす筋肉や横隔膜などの「呼吸筋」を最大限使っているのだそう。「その結果、COPDの人は胸筋が発達してきます。健康な人は、呼吸筋をほとんど使わないので 、ロングブレスダイエットを行うことで呼吸筋が鍛えられます。つまり、意識的にCOPDの人の呼吸をまねることで、体が引き締まるというわけ。激しい運動に比べると心臓への負担も少ないので、理にかなった運動法だといえます」

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