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地元を愛する人たちが深草のために作った本が完成
まちの魅力と今昔が凝縮された一冊

今年1月、深草の歴史や言い伝えをまとめた本「深草を語る」が出来上がりました。さまざまなスポットや特産品などが古文書との対比で紹介されています。編さんを手がけた「深草を語る会」を訪ね、深草の魅力を教えてもらいました。

ずっしり重みを感じるB5の本。約200ページの大作に仕上がったこの「深草を語る」を編さんしたのは、地元の住民グループ「深草を語る会」のメンバー11人です。

同会は、約10年前に4人で発足。最初の約2年間は、町の古老の家に集まって深草についての話を聞き、その内容をテープに記録する活動でした。

そんな中、「私たちの氏神はどこ?氏子は?」。地域の人から質問を受けたことがきっかけで、自分が住んでいる町をもっと知ることができれば住民同士の理解も深まるのではないかと考えるようになったのだそう。

「たとえば町名にしても、どういう由来があるのかを知っていれば、自分の住む町の見方が変わると思いませんか」と中井治夫さん。

そして、「深草という“まち”がどういう変遷をたどって今に至るのかを紹介したい」と本を作ることを決めたのだとか。

活動は月1回。メンバーの小山ナヲさんが中井さんの下書き原稿を読み上げ、持ち寄った文献を元に議論するというスタイルです。同会の事務局を担当している宮永晴治さんが文字を打ち込み、原稿を完成させました。

江戸時代に出版された4冊の本の中から該当する箇所を抜き出して併記することで、今と昔が比較できるのも特徴。

「本を見ていただいた人からは単純な神社仏閣の解説本ではなく、参考文献との対比が面白いという声がありました」と宮永さん。



橋脚に“五つ星”!?

「琵琶湖疏水にかかる橋の中で一つだけ橋脚に五つ星のマークが描かれているものがあるんですよ」。と聞いた記者。本でも紹介されているこの場所を実際に探してみることにしました。

かつて、陸軍が通行するために幅を広くして作ったという道は、今も軍道と呼ばれ、親しまれています。

その橋脚に注目しながら歩いていると…、軍道にかかる橋の1つに、よく見ると確かに「五つ星」が! これは、大日本帝国陸軍のマークなのだとか。

桜並木の道でもあるこのスポットは、お花見の季節、たくさんの人でにぎわう場所。こんなところにも知られざるいわれがあったことに驚きました。

「高齢の人は、この本を読みながら懐かしさを感じてもらえれば」と藤森信正さん。

「この部分は違う説も考えられるのでは?など異論があれば、どんどんその意見をぶつけてほしい。新たな発見と現状の修正を加えながら、深草の歴史を上書きしていきたい」と中井さんは話してくれました。

「深草を語る」を希望する人は、同会事務局(宮永晴治さん)=TEL:075(645)3445=まで問い合わせを。

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