ホーム > > 特集:社会・生活 > 祇園祭を楽しむキーワードは「復活」

祇園祭を楽しむキーワードは「復活」

7月、京都の街は祇園祭一色。注目は、なんと言っても「後祭(あとまつり)」と「大船鉾(おおふねぼこ)」の復活です。行事日程や巡行ルートが変わるなど、歴史的な節目を迎える今年は見逃せないポイントがいっぱいですよ。


「本来の形を復活させることで、祭りの原点をあらためて確認し、伝統を後世に伝えていきたい」と「祇園祭山鉾連合会」理事の木村幾次郎さん

49年ぶりに行われる「前祭」と「後祭」

今年から祇園祭の山鉾巡行は、7月17日(木)の「前祭(さきまつり)」と、24日(木)の「後祭」に分かれて行われます。

「山鉾巡行は、疫病退散を祈願するために神様の通り道を清める“神事”が起源。神幸祭に合わせた前祭と還幸祭の後祭に分かれて行うのが本来の習わしでした」とは、「祇園祭山鉾連合会」の理事・木村幾次郎さん。

その本来の姿から、昨年まで行われていた合同巡行へと変わったのは1966年のこと。

「当時の観光事情や交通規制、山鉾町の商いなどへの影響を考慮したためといわれています。しかし、見物する方からは『人出が多く観覧しにくい』『巡行時間が長過ぎる』といった声があり、長年の課題となっていました」

山鉾の建て日

前祭
※宵山は7月14日(月)〜16日(水)、巡行は7月17日(木)

  山鉾名
7月10日(木) 長刀鉾、函谷鉾、鶏鉾、菊水鉾、月鉾
7月11日(金) 放下鉾、船鉾、岩戸山
7月12日(土) 保昌山、山伏山
7月13日(日) 占出山、霰天神山、郭巨山、伯牙山、 芦刈山、油天神山、木賊山、太子山、 白楽天山、綾傘鉾、蟷螂山
7月14日(月) 四条傘鉾、孟宗山

後祭
※宵山は7月21日(祝・月)〜23日(水)、巡行は7月24日(木)

  山鉾名
7月17日(木) 大船鉾
7月19日(土) 北観音山、南観音山、鯉山
7月20日(日) 浄妙山、黒主山、役行者山、
鈴鹿山、八幡山
7月21日(祝・月) 橋弁慶山

「エコ屋台村」が登場

「エコ屋台村」は、リユース食器を使って飲食が提供される京都市による環境配慮型店舗。後祭には、子どもが遊べるコーナーや、エコ屋台村を巡るスタンプラリーなどが初登場します。設置は、前祭は7月15日(火)~16日(水)、後祭は7月21日(祝・月)〜23日(水)、それぞれ午後5時〜10時。場所は地図参照(は前・後祭とも、は後祭のみ)

山鉾の存在感の高まりが祭りの活性化に

元のスタイルに戻すことになったのは、巡行時間の短縮や人出のピークを分散させることも理由に挙がっているそう。前祭では23基、復活した後祭は10基が巡行。その10基の中には、今回150年ぶりの復興を果たす「大船鉾」も。また、巡行の分離に伴い、鉾の建て日や宵山などの行事日程も分かれることになります。

「ゆったり山鉾を巡ったり、じっくり最後まで巡行を見る余裕ができると思います。それぞれの山鉾の個性や魅力がより伝わりやすくなるのでは」(木村さん)

各山鉾の存在感が増すことは、祭りの活性化につながると木村さんは話します。

「祇園祭は、町衆(ちょうしゅう)の心意気を見せるお祭り。各山鉾が存在感を発揮していけば、互いに刺激し合って、祭りも盛り上がっていきます」

未来に向け、新たな一歩を踏み出した祇園祭。その節目を見届ける、貴重な機会になりそうですね。

このページのトップへ