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約300人が、目を閉じた顔でパチリ 「ヤマシナポートレート」展 2/14(土)まで開催しています

「ヤマシナポートレート」展 2/14(土)まで開催しています

山科に住んでいる、山科で育った、山科で働いているなど、山科区にゆかりのある人たち300人以上が参加する写真展が開催されています。その名も「ヤマシナポートレート」展。あら、写真に写っている皆さん、目を閉じているのはなぜ?

「ヤマシナポートレート」展に展示されている作品の一部(すべてモノクロ作品です)

「自分では見ることができない、目を閉じた顔。写真で見ることで新しい発見があるかもしれません」(成実さん)

「『ヤマシナポートレート』展は、〝目を閉じる〟というルールに基づいて撮影した人物写真の作品展です」と話すのは、企画者の成実憲一さん。インスタレーションという空間を演出する現代美術の作家活動を行っていた成実さんは、アートによる障害者支援に携わる「ヴァリアス・コネクションズ」の代表を務めています。

「年齢や障害のあるなしにかかわらず誰でもできる共通のルールを設けることで、作品展に統一感が生まれます」と成実さん。

「写っている人たちは他人同士ですが、『この人も目を閉じて撮影したんだな』と思うと親近感がわき、人との距離も縮まります。見る側も、同じような気持ちを抱いてくれるようです」

昨秋の締め切りまでに自分で撮影した写真を応募してきた人は、子どもから高齢者まで約50人。撮影を依頼されるケースも多く、山科在住の京都造形芸術大学生たちのサポートを受けながら作品を収集してきたそう。

「地域にいろいろな人がいることを知ってほしい」

造形作品の制作中にパチリ。「誕生日のお祝いのつもりで~」と周囲の人から声をかけられながら撮影していると、自然と指がピースサインに

仕事場の衣料品店で撮影をし、画像をチェック。「子どもも一緒に撮影するはずだったんですが、寸前になって『イヤ』って。急きょ、夫婦だけでとなりました」

昨年、撮影の様子を取材するために訪れたのは、障害者の余暇活動に取り組む「NPO法人わくわく」のワークショップ。現代美術のアーティストと一緒に、障害者やヘルパーが大きな模造紙にペンキを塗ったり落ち葉を並べたりしながら作品を制作していました。

その傍らで撮影を進める成実さん。カメラの向こう側では、ワークショップの参加者である寺尾さんと一緒にヘルパーの久保佳子さんも目を閉じています。撮影中はどんな気持ちでしたか?

「おだやかな人柄の寺尾さんとペアで撮影してもらったので、私もそんな気持ちになれました。一人だったらうろたえたかも」と久保さん。

次は、山科三条街道商店街の「セレクトショップオオタ」へ。「子どもが2人いるので、夫婦で写真を撮るなんて久しぶり」と店主の太田安彦さん。撮り終えると、「緊張しました。目を開けているときは平気なのに」と妻の美弦(みつる)さん。目を閉じてシャッターが切られるのを待つ間は、自分と向き合う時間になるのかもしれませんね。

「目を閉じて写真を撮ることを思いついたのは、6歳と3歳の息子たちの寝顔を見ていたときなんです」と話す成実さん自身も、生まれ育った山科で家族と暮らし、地域活動も行う根っからの“山科人”。

「撮影の依頼を受けたり、紹介してもらって撮影に行ってるうちに、僕自身のつながりも広がりました。この作品展をきっかけに、地域にいろいろな人がいることを知ってもらい、人と人がつながっていってくれたらうれしいです」

「ヤマシナポートレート」展は、2月14日(土)までの午前10時~午後8時。ラクト山科ショッピングセンター4階アトリウムデッキで。鑑賞無料。

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