ホーム > > インタビュー

インタビュー

俳優 渡辺謙さん

1959年10月21日、新潟県生まれ。NHK 大河ドラマ「独眼竜政宗」に主演し、
その後映画・ドラマで幅広く活躍。映画の公開待機作に
「追憶の森」 〈4月29日(祝・金)公開〉、「怒り」〈 9月公開〉がある。
ブロードウェーミュージカル「王様と私」の詳細はホームページで。
http://www.lct.org/shows/king-and-i

一番の原動力は“好奇心”
再びブロードウェーに挑む

昨年、ブロードウェーでミュージカル「王様と私」の主役を務め、成功を収めた渡辺謙さん。世界の演劇界で最高の栄誉であるトニー賞の主演男優賞に、日本人男性として初めてノミネートされ、この春、再びブロードウェーの舞台に立ちます。さまざまな困難を不屈の精神で乗り越えてきた渡辺さん。ミュージカルに挑戦した背景や、妻の南果歩さんの存在についてなど、心の内を語ってもらいました。



「実際に出演を決めるまでには、結構悩みました。ミュージカルで、全編歌ですからね。いくら僕だって躊躇(ちゅうちょ)しました(笑)」。昨年、ブロードウェーミュージカル「王様と私」へのオファーが来た当時の心境を振り返ってくれた渡辺謙さん。1860年代のタイ・バンコクを舞台に、王子の家庭教師として雇われた英国人女性・アンナが、王様と対立しながらも、次第に心を通わせていくという物語です。

背中を押してくれたのは妻で女優の南果歩さんの言葉でした。

「一番身近にいる女優さんに“ないよな~?”と言うと“なんで?やらないわけがないじゃない”と言われたんです。彼女は僕に一番近い観客。素直に見たいと思ってくれたんでしょうね」

最終的に決断した理由は「リンカーンセンターの舞台に立てるということ。世界の真ん中で舞台に立つのはどういう感覚なのかな、と思ったんです」。

何か行動を起こすときの一番の原動力は“好奇心”といいます。「これをやったらためになるとか、どういう評価をされるか、ということより、その作品に対してどれだけ好奇心がわくか、常に好奇心を持ち得るかどうかだと思うんです。そして、その仕事をやると決めた限りは、とにかく良くするためにはなんでもやろうっていう思考回路しかないんです」

挑戦の結果、世界の演劇界で最高の栄誉であるトニー賞の主演男優賞に、日本人で初めてノミネートされ、今春、再びブロードウェーで王様を演じることへとつながっていきました。

「人生、何が起こるかわからない。今は世界中でいろんなことが起きている。生きる力を試されている時代なんだという気がしています」

こうあるべきと思うと全部が負担になる

ニューヨークでの“単身赴任”生活では、妻のサポートが心強かったという渡辺さん。「彼女も舞台をやっていますから、何が必要かわかっていますし。必要だけれどアメリカには売ってないとなると、日本で探してくれて誰かに託してくれたりします」。そんな妻に感謝の言葉は伝えていますか?と聞くと「妻には常に感謝しているし、ちゃんと言葉で伝えています。が、全然足らないみたいで。もっと言え、と言われています(笑)」

普段から料理や洗濯もこなす渡辺さんは、家事を負担と思わないそう。「生活にマストはない。こうあるべき、こうしなきゃ、って思ったとたんに、生活の全部が負担になると思います。家族がお互いに“これが気持ちいい”ということだけを考えていけば、おのずとみんなが気持ち良くなる方法が見つかると思います」と笑顔で話してくれました。

(文・石黒香

このページのトップへ