チャーミングな人ってすてきです

3大要素は、表情・内面・コミュニケーション力

「チャーミングとは?」という問いに、一言で答えるのは難しいですね。読者アンケートで「チャーミングな人とはどんな人ですか?」と尋ねた結果、3つのポイントがみえてきました。

一つは表情や雰囲気。「年齢に関係なく、かわいらしい雰囲気を持ち続ける人、いつもにこにこしている人」(MHB48/46歳)、「男性なら、照れ笑いがかわいい人」(マンマ・ミーア/40歳)

内面も大事な要素の一つのよう。「純粋な人」(ほたるいか/34歳)、「自然体で気負いのない人。輝いてキラキラしている人」(はな/46歳)。内面が表情として現れるということもありそうです。

もうひとつはコミュニケーション力。「相手を傷つけることなく対応できる人。会話をするときのセンスが良いからだと思います」(たいちゃん/74歳)、「自分が知らないことを “知らない” “教えて” と素直に言える人」(IA/48歳)など。スムーズな対人関係を築けることもチャーミングな人のポイントのようですね。

映画に見る、チャーミングな人

映画の世界にもチャーミングな人はたくさん! 映画に詳しい4人に「この映画のこの人」を紹介してもらいました。チャーミングという観点で映画を見ると、新しい発見ができそうです。
※商品情報は2016年6月の内容です

挫折を乗り越え、輝きを放つ姿がポジティブ/はじまりのうた BEGIN AGAIN

「立誠シネマプロジェクト」
現場責任者の田中誠一さん

「はじまりのうた BEGIN AGAIN」
DVD:3800円(税別)、Blu-ray:4700円
(税別)※発売中
発売・販売元:ポニーキャニオン
©2013 KILLIFISH PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

立誠シネマプロジェクトの現場責任者・田中誠一さんが、チャーミングに感じるポイントは“挫折”。ちょっと意外です。

「物語にひかれる動機って、そういう部分にあると思うんです。『はじまりのうた BEGIN AGAIN』でマーク・ラファロが演じるダンは、仕事も家庭も失敗して居場所がない音楽プロデューサー。こんな人が身近にいたら、チャーミングには見えない(笑)。それが、主人公の歌を聞いて、輝きを取り戻していく。アルバム制作という目的ができて、たくさんの人と関わって作品を創り上げる。生きがいを持つって素晴らしいなとひかれます」

最初はどうしようもない人物として描かれていたダンが、プロデューサーとして手腕を発揮していく展開にワクワク。挫折があるからこそ、輝く姿が生き生きと感じられるのかもしれません。
「たとえ失敗しても、また始めることはできる。見終わったあと、ポジティブになれる映画です」

言葉に出さなくても、気持ちが伝わる表情やしぐさ/フォロー・ミー

「新京極商店街振興組合」
理事長の井上恭宏さん

「フォロー・ミー」
DVD:4700円(税別)※発売中
※Blu-ray発売中
発売・販売元:キングレコード

新京極商店街振興組合理事長の井上恭宏さん。大学で映画を学び、「京まちなか映画祭」の総指揮を務める大の映画好きです。

そんな井上さんがチャーミングな人として挙げたのは、40年以上前に制作された「フォロー・ミー」で、ミア・ファローが演じた新妻・ベリンダ。

イギリスの上流階級の男性が、レストランで働いていた女性を好きになり、結婚。でも、この女性はアメリカから来た自由を愛する元ヒッピー。2人の結婚観は合うわけもなく…。やがて、べリンダの度重なる外出を不審に思った夫が探偵に調査させるというストーリーです。

ベリンダと探偵の駆け引きがいいと井上さん。
「探偵の尾行に気づいたベリンダは、最初はけげんに思っていたものの、次第に探偵と心が通じ、二人の時間を楽しむように。といっても会話は交わしません。笑顔やしぐさなどでコミュニケーションをとる演技がなんとも魅力的です」

クールな女性が感情をあらわに…そのギャップこそ!/オーケストラ!

「京都シネマ」営業・宣伝の
谷口正樹さん

「オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組)」 DVD:3980円(税別) ※発売中
発売元:アスミック・エース
販売元:ハピネット
©2009 LES PRODUCTIONS DU TRESOR EUROPACORP FRANCE 3 CINEMA OÏ OÏ OÏ PRODUCTIONS CASTEL FILMS PANACHE PRODUCTIONS RTBF BIM DISTRIBUZIONE

「オーケストラ!」をすすめてくれたのは、京都シネマで営業・宣伝を担当する谷口正樹さん。共産主義時代に楽団を解雇されたロシアの天才指揮者が、かつての仲間たちを集めてパリで公演をすることに―。

「背景は深刻ですが、笑いにあふれた楽しい映画です。この公演にソリストとして呼ばれるのが、メラニー・ロラン演じるアンヌ=マリー・ジャケという女性。この人、いかにも天才音楽家。美人で、ちょっと怖い(笑)。ろくにリハーサルをしない楽団員たちにイライラして、ストイックで人を寄せ付けない雰囲気の持ち主として描かれます」

見どころはクライマックス。「それまでクールだったのに、涙を流したり、笑顔になったり。その落差にドキッとします」。意外性やギャップを感じる演技。確かに心をぐっとわしずかみにされますね。

心にしみる、現実を受け止めた穏やかな笑顔/八月のクリスマス

立命館大学映像学部
准教授の北村順生さん

「八月のクリスマス デジタル・ニューマスター版」DVD:1429円(税別) ※発売中
発売元:ツイン 販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

「こういうときに、こんな穏やかな笑顔ができる人ってチャーミングだと思うんです」というのは、立命館大学映像学部准教授の北村順生(よりお)さん。

“こういうとき”とは、「八月のクリスマス」の主人公・ジョンウォン(ハン・ソッキュ)の置かれた状況。彼は自らの余命がわずかなことを知りつつ、小さな写真店を営んでいます。

「派手な出来事が起こるわけではなく、家族や友人、気になる女性との日常を淡々と描いています。目前に迫る死を受け入れて悲哀を背負いながらも、他人に優しく笑いかけることができる。自分もこんなふうにありたいなぁと、しみじみ思います」

現在48歳の北村さん。もし20年前に映画の中のチャーミングな人を尋ねられたら、違う人物を答えたかもと話します。

「若いときなら、奔放で自由なヒーローを思い浮かべたでしょう。年齢と経験を重ねた今は、人ときちんと向き合えるって魅力的だなと思います」

このページのトップへ