ホーム > > 試写室・劇場から

試写室・劇場から

リトル・ボーイ 小さなボクと戦争

9月24日(土)から京都シネマで公開

©2014 Little Boy Production,LLC.All Rights Reserved.

ひたすら信じ、自ら動けば、ひょっとして奇跡が起きる!?

第2次世界大戦下、アメリカの小さな漁村に暮らす主人公のペッパーは、あまりに小柄なため、“リトル・ボーイ”とからかわれていた。彼のことを理解する一番の親友は、愛情たっぷりの優しい父親だったが、戦地へおもむくことになる。その心細さと寂しさは8歳の少年を絶望の淵に追いやるが、いじめられてもへこたれない勝ち気なペッパーは、父親を呼び戻したい一心で、周囲も驚くような、一生懸命の行動を重ねていく。

この物語にはさまざまな問題が複合的に絡んできて興味深い。いじめの問題、少年ペッパーに大きな変革を与えるのが、当時真珠湾攻撃によりアメリカで敵視された日系人だということ、教会の司祭がペッパーに与える行動リストの重み、広島に投下された爆弾がリトル・ボーイと呼ばれたこと。メキシコ出身のアレハンドロ・モンテヴェルデ監督は、ユーモアとともに、少年の奮闘ぶりを鮮烈に描き出す。

ペッパーを演じたジェイコブ・サルヴァーティの、自然体のけなげさに注目! エミリー・ワトソン、トム・ウィルキンソン、ケイリー=ヒロユキ・タガワ他出演。戦争のむごさを背後に置きながら、ある一家に訪れた苦難と日々の営み、それに応じるかのようなサプライズを配置した語り口がうまい。

(ライター 宮田彩未 

このページのトップへ