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城陽の歴史遺産、上大谷古墳群を次世代に

城陽市には、古墳巡りを楽しめるほど、市内のあちこちに古墳があります。そのうちの一つ、「上大谷古墳群」では地域の自治会の有志が古墳の美化・保護活動に取り組んでいます。10月には、8号墳(城陽市久世上大谷113―1)がある「上大谷第1児童公園」で、美化活動の一環として草むしりが行われました。

草むしりに集まった上大谷友が丘自治会のメンバー

上大谷友が丘地区が宅地開発されたのは昭和50年代。そのとき、4世紀後半~7世紀にかけて造られた20基の古墳が発掘されました。

それらが、市の史跡にもなっている上大谷古墳群です。古墳は点在していて、1~5号墳、8号墳、14号墳、18~20号墳がある4カ所が公園として整備されました。ですが、30年以上が経過する中で、公園内の木が伸び放題に。

「うっそうと暗い雰囲気になっていました。遊具があるのに、子どもに『あの公園に行っちゃだめ』なんて、おっしゃっていたご家庭もあるように聞いています」と、同自治会・前会長の小嶋義志さんは言います。

慣れた様子で草刈り機を操る小嶋さん

〝あうん〟の呼吸でそれぞれ作業を進めていくメンバー。「もう、何回もしているから」とのこと

木の伐採を市に依頼 表示板の修復も

小玉さんが新しい鉄板を張るなどして修復した表示板。6基の古墳の前に設置されています

昨年、同自治会の所属学区が地区整備の対象となったのを機に、「授業でも取り上げられるなど親しみのある古墳なのに、このままでは訪れる人がいなくなってしまう。近隣住民の防犯のためにもなんとかしたい」との思いから、小嶋さんは市にかけあって木の伐採を依頼。

同時に整備のために自治会のメンバーに協力を呼び掛けたところ、「地元の大切な歴史遺産を次の世代に残したい」と約20人が集まりました。取材で訪れた8号墳だけではなく、地区内にある公園をまわって草むしりをしたり、花の苗を植えたり。さびて穴があいた表示板は、メンバーの小玉忠義さんが修復したそう。

「整備前と比べると、スカッとした空間になりました。ほらあそこに六甲山や生駒山、金剛山が。よく晴れた日には、大台ケ原辺りまで見渡せるんですよ」と、上大谷友が丘自治会の会長・志柿(しがき)宏二さん。

「以前訪れたことがある人も、この変わりように驚かれるのでは?」と問うと、「そうでしょうね」と小嶋さんも志柿さんもにっこり。発掘された当時の姿を取り戻しつつある上大谷古墳群に足を運んでみませんか。来年の4月~5月には、この春に植えられたシバザクラが、ピンク・白・ムラサキの花を咲かせる予定です。

同古墳群についての問い合わせは、城陽市教育委員会 文化・スポーツ推進課 文化財係=TEL:0774(56)4049=まで。

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