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高齢者の暮らしを支えるもの

高齢者と呼ばれる年齢での独り暮らし、または配偶者との二人暮らし。そんな生活の中で、気になることは…。読者の声に応える形で、高齢者を支えるさまざまなサービスや施設を紹介します。

「京都SKYセンター高齢者情報相談センター」内山貴美子さん

「京都SKYセンター 高齢者情報相談センター」
内山貴美子さん

「京都府内に住む高齢者の方やそのご家族の、生活におけるさまざまな心配ごとの相談を受け付けています」

住まい選び/介護をすべて子どもに任せないよう適切な施設を選びたいけれど、よく分かりません(UH、38歳)/今、入居待ちの施設が多いと聞きます。この先入れるのか心配(SM、52歳)

一言で高齢者向けの住まいといっても、下記の表のようにさまざまな種類があります。一体、どのように選べばよいのでしょうか。 「どんな状況のときに検討するかによって、選択肢が変わってきます」と、内山さん。 一番多いのが、けがなどで介護が必要になったときに、家族が慌てて探すケースなのだそう。

「比較的安価で利用できる特別養護老人ホームは、入居待ちの方がたくさんいて、いつ入れるかが分からないのが現状です。そこで受け皿となっているのが、有料老人ホームや、ここ数年で増えているサービス付き高齢者向け住宅です」
サービス付き高齢者向け住宅の中には、特別養護老人ホームと変わらない価格の施設も。介護や看護の事業所を併設しているところも多数。サービスも幅広いのだとか。

一方、介護は必要でなくても、「話し相手がいなくてさみしい。孤独死が心配」「体力的に家事をするのがしんどい」「病気があり、食事に配慮が必要」など暮らしに不安があり、施設を探すパターンもあるといいます。 「この場合も、食事が付いていたり、緊急時に対応してくれる支援があるサービス付き高齢者向け住宅や住宅型の有料老人ホームが選択肢となります」

健康な高齢者が老後をより楽しく過ごすために、レクリエーションや施設が充実している有料老人ホームを選ぶ例も。目的や必要とするサポートによって選び方が変わるのですね。 「一時的なのか、“みとり”までを望むのかなど、いつまでそこで過ごしたいかも併せて検討が必要です。終身利用が可能かどうかは施設ごとに異なります」

施設の雰囲気や“人”が重要なポイント

実際に利用するところを一つに絞るときのポイントは? 
「経済状況にも左右されるかと思いますが、生活をするわけですから、施設内や職員の様子は必ずチェックを。できれば2泊、少なくとも1泊はして、職員の働き方、さらに入居者はどんな人たちなのかを確かめてください」

公的な施設である特別養護老人ホームは見学はできませんが、民間の施設であればほとんどの場合、受け付けてくれるそう。 「ほかには、立地。家族や親族に来てもらいやすいか、買い物も楽しみたいなら、街中に出やすいかなどを考えてみましょう。食事も毎日のことですから、試食は必須です」

では、もしものときに慌てないために、事前にしておいた方が良いことはあるのでしょうか。
「どこで誰にみとってもらったり、介護をしてもらいたいかを健康なうちに考えることが大切。60歳以上など入居が可能な年齢になったら早めに見学に訪れて、情報収集をしたり候補を絞り込んでおいてもいいですね」

高齢者向けの住まい・施設の一例
種類 特徴 入居資格 介護サービス 終身利用は
有料老人ホーム
(住宅型)
生活支援などのサービスを提供
  • おおむね60歳以上
  • 入居時、自立・要支援・要介護(施設によって異なる)
外部サービスを利用 要介護になっても利用は可能
有料老人ホーム
(介護付き)
介護、食事、洗濯・掃除などの家事、健康管理などのサービスを提供
  • おおむね60歳以上
  • 入居時、自立・要支援・要介護(施設によって異なる)
内部の職員 要介護になっても利用は可能
サービス付き高齢者向け住宅 バリアフリー構造の住宅。安否確認や生活相談サービスあり
  • おおむね60歳以上
  • 入居時、自立・要支援・要介護(施設によって異なる)
外部サービスを利用 要介護になっても利用は可能
ケアハウス 軽費老人ホーム。バリアフリー住居機能を持ち、食事・入浴のサービスを提供。緊急対応を行う
  • 60歳以上
  • 自宅での生活が困難かつ家族による援助を受けることが困難な独り暮らしや高齢者のみの世帯
介護保険でヘルパーなどを利用 要介護状態になれば退去(ヘルパーの援助で自立した生活ができれば利用可)
ケアハウス
(介護付き)
「特定施設入居者介護」の指定を受けた施設の場合は食事・入浴・排せつなど日常生活のサポートを専門職が行う
  • 原則65歳以上
  • 要介護1~5。介護保険適用
内部の介護職員 長期入院時は退去もあり
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
常時、介護が必要な人の日常介護に対応
  • 原則65歳以上
  • 要介護3。介護保険適用
  • 申し込み順ではなく、入所の必要性の高い人を優先
内部の介護職員 終身利用可
グループホーム 認知症高齢者が対象。介護職員のサポートを受けながら共同で生活
  • 原則65歳以上で中軽度の認知症
  • 要支援2、要介護1~5。介護保険適用
内部の介護職員 長期入院時は退去もあり

※「終身利用」については特に規定がなく、ケースバイケースという面も。各施設によって扱いが異なります(「京都SKYセンター 高齢者情報相談センター」提供の資料をもとに作成)

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