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水にまつわる京都のハナシ

新しい刺激を得て、水上の〝古典絵巻〟にさらなる活気が

今年7月、「嵐山鵜飼(うかい)」に全国初となる外国人の鵜匠(うしょう)が誕生しました。それが、ドイツ出身のラリッサさん。嵐山地域の屋形船を運航する「嵐山通船」で初めての女性鵜匠でもあります。


右から田宮さん、ラリッサさん、岩松さん、夫津木裕介さん



ラリッサさんが鵜飼いを知ったのは、インターネットに掲載された写真を見たことがきっかけでした。当時は、人と魚の間に鳥がいる関係性が不思議だったと笑います。その後、鵜飼いをやってみないかという声がかかったことでこの世界に飛び込んだそう。

「平安時代からという長い歴史がある文化ですが、京都観光に訪れる外国人にはまだあまり知られていません。私が関わったことで、外国人観光客の行き先の一つにこの鵜飼いがプラスされれば」とラリッサさん。

嵐山の鵜飼は、客船との距離が比較的近いのが特徴だそう

先輩鵜匠である田宮昌海さんは、ラリッサさんのことを聞いたとき、「『本当に!?』と驚くとともに、面白いなと思いました」と話します。もう一人の先輩・岩松勇伍さんも、「今年はラリッサさんに向けての声援が増え、活気があります。ちょっと嫉妬しつつも(笑)、お客さんが盛り上がってくれると私たちもおのずと気合が入ります」。嵐山の鵜飼いの発展への思いが感じられますね。

今年の鵜飼いは9月23日(祝・土)まで。ラリッサさんの出番は主に午後7時からの回のみです。

北野天満宮で再興された、
「御手洗(みたらし)川」での足つけ神事

多くの人でにぎわった、昨年の北野天満宮での足つけ神事。この神事は、平安京ゆかりのみそぎの行事が時を経て、再興されたもの。「三光門(さんこうもん)」の西側に、このために新しく造られた「御手洗川」で行われました。


昨年行われた「御手洗川足つけ燈明神事」の様子

御手洗川の近くにある「船出の庭」も同時期に整備されました。「こちらを流れる川は、昨年初開催の『北野天満宮曲水の宴』の舞台になりました」と上嶌さん

「当宮では、歴史的に重要であった神事などを復活させていきたいとの思いがあります。昨年再興させた御手洗川の足つけ神事もその一つです」と権禰宜(ごんねぎ)の上嶌将司さん。

参加者は願い事によって青・赤・黄・白・紫と5色に塗り分けられた「御手洗ろうそく」から1本を選んで火をともし、膝下まで水に漬かりながら、川の中を進みます。いくつものろうそくの火が水辺でゆらめく様子は幻想的。心身ともにすがすがしく夏を過ごしたいと家族連れや友人グループなどが訪れたといいます。

今年の「御手洗川足つけ燈明神事」は8月5日(土)~16日(水)です。

そのほか、こんな話題も
「ミスト付き朝顔のトンネル」で二条城散策時にクールダウン

全長は約20m。「宵の月」「平安の春」といった6種のアサガオが植えられています ※撮影は7月中旬

「わー、涼しそう!」と取材時にも多くの人が通り抜けをしていたのが、二条城の「大休憩所」前に設置された「ミスト付き朝顔のトンネル」。二の丸御殿から庭園を約1時間かけて回った後の、格好のクールダウンスポットとなっていました。

二条城では、庭師たちがここ6年ほどの夏の間、ミストが出るマシンの設置を行っていましたが、植物を使うアイデアは今回が初めて。早咲きと遅咲きを取り混ぜてアサガオを植えたのだそう。

今年の大政奉還150周年を記念して早朝開城を実施すると決まった際、「朝早く来られたお客さまをもてなしたいと庭師たちがアイデアを出しました」と二条城事務所の田中さん。

早朝開城の終了後も、9月30日(土)まで設置されます。
※入城料として600円要。早朝開城は8月31日(木)までの午前7時から

「京都市上下水道局太秦庁舎」に、初となる店舗スペースも

京都市上下水道局太秦庁舎

京都市山ノ内浄水場跡地の北西部に完成した「京都市上下水道局太秦庁舎」。7月18日から業務がスタートしています。

市内北部エリアの上下水道サービスと防災の新たな拠点となる同庁舎。大規模災害の発生時に他都市からの応援職員の受け入れを行うほか、約1400m³の水道水(1人1日3ℓを利用するとして約15万5000人分)を確保できるシステムが備わっています。

また、上下水道局の施設内では初となる店舗スペースが併設されていることも特徴。地域のにぎわいの創出を狙い、1階に薬局や飲食店が入っています。

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