あらためて考えたい〝食べる〟こと

時間のこと

夕食を食べてから寝るまでは、3時間以上あけるべき?(れいこ・42歳)
イエス消化、血糖値の面から、
午後7時ごろの夕食が理想的

寝る前の食事は消化に悪く、太りやすいというイメージがあります。

「睡眠中は胃腸の動きが悪くなるので、消化は進みづらいもの。摂取したカロリーはエネルギーとして使われず、脂肪となって蓄積されます」(今井さん)

寝る時間に限らず、午後6~7時ごろまでの夕食が理想的とのこと。遅い時間に食べるほど、血糖値が上がるといいます。

「空腹状態が長く続くと、インスリンの働きを妨げる遊離脂肪酸の値が上昇します。インスリンが効きづらくなるので、血糖値は高いまま。早めの夕食は、高血糖による動脈硬化や脳梗塞も予防できます」

夕食を午後7時ごろに食べるのが難しい場合もあるのですが…。

「炭水化物は早めの時間に食べれば、エネルギーとして燃焼されるので血糖値への影響も少なくなります。なので、夕方におにぎりを食べ、野菜や肉料理のおかずは帰宅後というように、夕食を2回に分けるといいでしょう」

しっかりかみ、30分かけて食事をするように心掛けています(ふっち・50歳)
ナイスかむことで満腹感が促進され、
食べすぎを予防

ゆっくり食事をするようにしているという、読者のふっちさん。

「よくかめば、満腹感を促進するインクレチンホルモンが分泌されます。血糖上昇も抑えるので、糖尿病などのリスクも低下。消化にもいいですよ。早食いは満足感が得られず、食べすぎてしまう恐れがあります。少なくとも、15~20分はかけて食事をするようにしてください」

同じメニューでも、食べるスピードには個人差があるように感じます。

「口の大きい人、どちらかというと男性は食べるのが早い傾向に。ですが、意識すれば早食いは直せます。一方、子どもは大人よりも食べるのが遅くなりがち。あまりせかさず、見守ってあげることも大切です」

食事への集中も、食べすぎを防げるとか。

「早食いと同じく満腹を感じづらいのが、テレビを見ながら、本を読みながらといった〝ながら食い〟。食べるときは、純粋に食事だけを楽しんで」

朝起きたらコップ1杯の水やさゆを飲むといいんですよね(ゆき・60歳)
おすすめ睡眠中に失われた水分を補給して

「寝ている間は、汗などで0.5~1リットルの水分が失われます。ですから、寝起きにのどが渇いているのは自然なこと。軽い脱水状態といえます。朝にコップ1杯の水分を取るのは、いい習慣だと思います」

体内の水分量が減ると高くなるのが、血液濃度。

「ドロドロの血は血管に詰まりやすく、脳梗塞や心筋梗塞を招く危険も。コップ1杯の水の習慣づけは、そうした病気の予防にも効果的です。水分は毛穴からも蒸発するので、皮膚にも潤いを与えることになりますよ」

では、水とさゆではどちらが体にいいのでしょうか。

「効果に大きな差はないので好みで選べばOK。ただし、冷たい水は体を冷やしてしまうので注意。常温のものを飲むのがいいですね」

食材のこと

ウナギはスタミナがつくの?(KS・48歳)
事実ビタミン、鉄分などの栄養がたっぷり

残暑を乗り切るため、ウナギでスタミナ補給を。よく聞く言葉ですが、実際のところは?

「ウナギは、免疫力を高めるビタミンA、疲労回復を支えるビタミンB群、骨を強くするビタミンDなどが豊富。栄養・スタミナ補給に適した食材なんです」

さらに、良質な脂肪を多く含む点もポイントだといいます。

「カロリーを気にする人は多いですが、暑さが続くと食欲は落ちるので、脂質は適度にとるのが大事。特に高齢者は、やせすぎると肺炎などの感染症にかかりやすくなります。そうしたリスクを避けるためにも、ウナギでスタミナをつけましょう。鉄分も含まれているので、貧血にも効きますよ」

ウナギのほか、レバーもスタミナ補給には欠かせない食べ物だそう。夏の疲れが出るこの時期にはぴったりの食材なのですね。

天ぷらとスイカなど、食べ合わせが悪いといわれるものは避けています(れいこ・46歳)
ケース・バイ・ケース消化不良にならないための昔の知恵

読者のれいこさんは、「カニと果物のカキ、ところてんと生卵も、食べ合わせが悪いと思っています」とのこと。

「昔から伝わる食べ合わせの問題ですね。油物の天ぷらは消化に時間がかかります。水分の多いスイカは胃液を薄めてしまうので、一緒に食べるとさらに天ぷらは消化しづらくなるのです。ところてんと生卵は、どちらも消化しづらい食べ物なので、別々に食べるべきとの見方が広まったのでしょう」

カニとカキの食べ合わせについては「それほど気にしなくてもいいのでは」と、今井さん。

「冷蔵庫がない時代、カニは保存に特に注意が必要でした。それに加え、カニは海の食材、カキは山の食材なので、昔は流通の問題から二つをそろえるのに時間がかかりました。カキを用意している間にカニの鮮度が落ちてしまうと考えられていたようです。現代では、さほど神経質にならなくてもいいかと思います」

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