ホーム > > 特集:子育て・子ども > 受験生との向き合い方

受験生との向き合い方

受験生を応援するために、周りの大人ができること

この時期を乗り切る三つのポイントについて、子どもの受験を経験した先輩読者と専門家に聞きました。来年受験をする子どもを持つ読者からの質問にも、先輩ママが答えてくれましたよ。

イベントや行事の関わり方

クリスマスや正月など、子どもたちにとっても魅力的なシーズン到来。ですが…。

「積極的に遊びに行くことはなく、帰省などは数日のことなのでいつもと同じようにした」(フック・61歳)と、お楽しみは自粛気味だったという家庭も多いよう。

兄弟姉妹がいる場合の過ごし方に悩んだという人も。「上の子は高校受験でしたが、下の子のためにもクリスマスや正月のパーティーは例年同様にしました。でもほかの時間は下の子を連れて外出するなど、静かな時間をつくるようにしました」(りのあやママ・56歳)

受験生本人だけではなく、家族の協力も必要ですね。

実家で正月を迎え、いとこたちと遊ぶのを楽しみしていますが、息抜きをさせてもいいのでしょうか(IA・46歳/子どもは高校受験)

  • ●わが家では、クリスマスも正月も特別な日にせず、帰省などもせずに普通の生活をするように家族で決めました(TI・58歳)
  • ●息抜きが一番大切。連れて行ったことで不合格になるなら、行かなくても一緒だと思う(ハンコさん・40歳)

「行く」「やめる」は、子どもに選ばせて

京都教育大学教育学科
教授・内田利広さん

親や周りの大人が決めるのでなく、受験生本人に「行くか」「やめるか」を選択させてください。そして、その判断を聞き入れましょう。自分で選択することで、気持ちの折り合いがつきやすくなります。

「合格したら遊びに行こう」という話をすることもあるかと思いますが、合格しなかったら行けないというネガティブな気持ちを引き起こすことに。「受験が終わったら遊びに行こう」と、合否にかかわらない展開で話をしてみて。

モチベーションの高め方

入試間際ともなると、特に勉強に集中できる環境づくりを心がけていた読者が多かったようです。

「携帯電話はリビング以外での使用を禁止。携帯電話がそばにあるとつい触ってしまい、勉強できないので」(YK・37歳)、「下の子だけ父親と一緒に実家に帰省。母親と本人は家に残り、静かな環境のなかで勉強させた」(KK・50歳)、「気が散らないように、テレビのバラエティー番組をつけっぱなしにしたり、大声で笑いながら見ないようにしていた」(はな・48歳)など、家族を巻き込んでの努力が。

また、「長女が中学受験のとき、やる気が出るように『できてるよ』『やるやん!』と、気持ちが前向きになる言葉をかけるようにしました」(AS・41歳)と、励まし方にも工夫が見られました。

クリスマスプレゼントにゲームを欲しがっていますが、遊び続けてしまうような気がします。気を引き締めてほしいのですが、どうすればいいでしょうか(KY・50歳/子どもは中学受験)

  • ●プレゼントはして、「開封は受験の結果が出てから」と話すと効果があるかも(ちょこっとママサン・54歳)

勉強の間に休憩をはさんで、学習効率アップ

京都女子大学
発達教育学部
教授・広瀬雄彦さん

ゲームをしたりテレビを見たりと、一見やる気がないような行動をとることがあります。これは、受験に対する不安から逃れるため。こんなとき、頭ごなしに「勉強しなさい」と言うのはNGです。試験後の楽しいイベントの話をしたり、「いつも応援しているよ」といった言葉かけをするなど、弱った心を支えるような関わり方をしてあげてください。

休憩も大切。試験時間程度の勉強をしたら休憩を15分ほど。お菓子を食べたりストレッチをしたりと、ちょっとしたリフレッシュを取り入れて。

体調管理

「塾に持っていくお弁当は保温式のランチボックスで。温かい汁物を必ず付けました。ストレスでおなかを壊すことがあったので、せめて温かいものを食べて、食事時間はなごめるようにと思いました」(HM・54歳)、「インフルエンザにかからないように、家族みんなが家の中でもマスクを着用。手洗いとうがいを励行」(KI・51歳)など、受験生の体調管理に気を配っていたようです。

また、塾で帰宅が遅くなったり、自宅でも深夜まで机に向かうことも多いころ。「高校受験のとき、寝不足で疲れがたまり、昼間に仮眠することも。悪循環になっていると思い、夜遅くなりすぎないようにと声をかけていました」(MC・45歳)と、気遣う声も聞かれました。

どのくらいの時間、寝かせてあげればいいでしょう?
(KE・46歳/子どもは大学受験)

  • ●必要な睡眠時間は人によってさまざま。規則正しいタイムスケジュールの方が重要だと思います(ちょこっとママサン・54歳)
  • ●睡眠時間は本人に任せていましたが、寝不足のようなら少し寝るように声をかけました(フック・61歳)

学習に効果的なのは、〝早寝早起きをして復習〟

京都文教大学
臨床心理学部
教授・中島千惠さん(睡眠健康指導士上級)

睡眠時間が不足しがちな上に、就寝時間も朝の起床時間も遅くなりやすい時期。ですが、学習の効率を高め、朝から始まる入試本番で力を発揮するには、早寝早起きの習慣を身につけておいた方がいいですね。睡眠は情緒の安定、免疫力向上に影響します。遅くとも午後10時ごろには部屋を暗くして就寝を。入眠直前に強い光を浴びると睡眠の質が低下します。スマホなどは扱わないようにしましょう。

睡眠の役割は〝脳の休憩〟〝体の機能回復〟〝脳内情報の整理と情報処理能力の回復〟。毎晩、一定の勉強をして睡眠を取り、朝起きて前の晩に勉強したことを復習すると、より記憶が定着するといわれています。

よくかんで食べれば、脳の血流が活発に

京都華頂大学
現代家政学部
教授・豊原容子さん

栄養バランスよく3食食べることが大切なのは、普段も受験期も同じ。見落としがちなのが〝食べ方〟です。しっかりとよくかんで食べることで脳の血流がよくなり、活発に働くようになります。

温かい物を食べると、体も心も温まり、免疫力も向上。かんきつ類などに多く含まれるビタミンCは抗酸化作用があり、ストレス対策に。脳のエネルギーになるブドウ糖の必要量は勉強をして頭を使うからといって、それほど増えることはありません。1時間当たりあめ玉1個で十分ともいわれているので、めん類などの夜食の取りすぎには注意してくださいね。

このページのトップへ