あなたの考える京都の文化とは?

文化とは伝承、継承されるもの。元明倫小学校の ように、廃校になった小学校を新たに活用している ことだと考えています(たいちゃん・76歳)

地元の思いを大切にしながら活用方法を模索

京都市行財政局 資産活用推進室
学校跡地活用促進担当

川田翔子さん

「京都国際マンガミュージアム」「京都芸術センター」など、京都の街中には、閉校した小学校を活用した施設が複数あります。

「京都市、地元住民、民間事業者が協力して跡地活用を進めています」とは、京都市行財政局資産活用推進室の川田翔子さん。

「活用の対象は、明治時代に地域住民によってつくられた小学校。そのため、住民からの愛着も強いですね。皆さんの意見を尊重しつつ、活用の仕方を決めています」

元立誠小学校や元白川小学校の整備も進行中。どちらも宿泊施設を含む複合施設になる予定です。

「活用後は地元住民のためのスペースを設置。漫画やアート、映画など、文化発信の場になっているところもあります」

地元の思いを大切にした新たなスポットが、今後も誕生していきそうです。

古くから受け継がれている茶道。教室がたくさん あって習っている人も多く、町に根付いています (ST・49歳)

時代に応じてスタイルが変化

茶道資料館 顧問

筒井紘一さん

「今の茶道のベースになっているのが、室町時代に生まれた茶会です」と、茶道資料館の顧問・筒井紘一さん。

「茶会とは、温かい懐石の後に濃茶と薄茶を楽しむもの。豊臣秀吉は京都で大きな茶会を開き、その発展に大きく貢献しました。主人自らが膳を運んで客をもてなす形式が、今の茶道の原点です」

現代のように懐石はなく、濃茶、薄茶を飲むのが茶会といわれるようになったのは明治時代以降のこと。

「女性の習い事として浸透していき、短い時間で気軽にできるスタイルに変わっていきました。時代の流れに応じて変化したのです。今後もお茶の文化を先導していくのは、やはり家元が集中している京都。ストレス解消、健康といった現代の関心事とうまく結び付いて振興していくのではと思います」

日常生活の中では、門掃きが京都の文化といえるの では。当たり前にしていることこそ、文化なのだと 思う(KS・44歳)

隣近所の交流のきっかけに

らくたび 代表取締役

若村亮さん

家の前を掃き清める、門掃きの習慣。

「掃除をしながらあいさつや立ち話をするなど、近所の人とのコミュニケーションのきっかけになっています。自宅周りだけではなく、隣の家の前も少し掃くのが、京都ならではの習慣です」と、「らくたび」代表取締役の若村亮さんは話します。

隣の家の前を全て掃いては気を使わせてしまうことも。〝少し〟の気持ちがポイントだといいます。

「隣近所で、自然と同じ時間に門掃きをし始めるようです。京都は昔から町衆の自治の力が強く、ご近所付き合いを大切にしてきました。門掃きは、そのつながりが表われています」

何げなく行われている習慣も、文化の一つなのですね。

着物の文化です。着ている人をよく見かけますし、 呉服店もたくさんあるので(HY・48歳)

流行のデザインを発信し続けています

京都ノートルダム女子大学
生活福祉文化学部
生活福祉文化学科 教授

鳥居本幸代さん

「〝京の着倒れ〟といわれるくらい、昔から京都の人は着物へのこだわりが強いですね」と言うのは、京都ノートルダム女子大学生活福祉文化学部生活福祉文化学科教授の鳥居本幸代さん。

「代々受け継いできた着物を持っているという人も多いです。着物の発展を支えてきた職人や呉服店は、今でも京都に集まっています。着物を着る環境が整っているといえるでしょう」

江戸時代には「雛形本(ひながたぼん)」と呼ばれる、着物のカタログも出版されていたとか。

「こうした本を基に、着物を注文していたのです。京都が着物の流行の中心地だったことを示しています。伝統を重んじる一方で新たなデザインを生み出していくのは、現代にも通じる姿勢。今後も京都から、若い世代の心に響くような着物が発信されていくのでは」

京都市文化市民局
文化芸術都市推進室
文化芸術企画課
計画推進担当課長

吉岡久美子さん

読者から幅広い答えがそろった〝京都の文化〟。そんな京都における文化の普及や振興に取り組む、京都市文化市民局文化芸術企画課の吉岡久美子さんに話を聞きました。

「美術、音楽、演劇、伝統芸能、茶道、華道、漫画…。京都には先人がつくり出してきた文化が暮らしに根付いています。京都の文化のイメージが多岐にわたるのは、長い歴史の中で創造と継承を繰り返しつつ、異なる分野が関連しながら発展したからでしょう。

京都市の小・中学校などでは、アーティストを招く特別授業を実施。多彩な文化芸術が集積する京都は、子どものときから文化に触れる機会が多いまちだといえます。市民の皆さまに文化活動をサポートしていただく『京都市文化ボランティア』の活動も盛んです。このように多くの人に支えられ、これからも文化が発展していくのだと思います」

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