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〝寒天発祥の地・伏見〟
埋もれかかっていた歴史をPR

「伏見で作られていたのはこの〝糸寒天〟のようなものだと思います。活動をするようになって、たくさんの人から情報提供があり、いろいろなことが分かってきました」と植野さん

暑い時期のおやつにぴったりな、ぷるぷるのひんやりデザート。材料に使われる寒天の発祥の地が伏見だと知っていましたか。

伏見で海藻を取り扱う商店の7代目・植野彰さんは、「伏見が寒天発祥の地」であることをPRする「伏見寒天プロジェクト」を昨年立ち上げました。

植野さんが、伏見と寒天の関わりについて知ったのはおよそ15年前。家業である海藻について図書館で調べているとき、ある本で「寒天の発祥は伏見」という記述を目にします。それ以来、古い文献を調べるなどして、寒天と伏見の関わりを研究してきたのだそう。

寒天が誕生したのは江戸時代。その経緯を聞いてみると…。

「島津の殿様が伏見に立ち寄った際、食事にところてんが出されたのですが、それを食べなかったそうです。それが外に置かれたままになって、夜に凍り、朝、太陽が昇って乾燥して、というのを繰り返し、干物のようになった。こうしてできたのが寒天だといわれています」

その後、保存がきく寒天は和菓子に使われるなどして、広がっていったのだとか。明治初期には30万本の寒天が伏見で作られていたという記録が残っているほど、製造が盛んだったといいます。ですが、1950年の記録には、寒天を作っていた形跡はないのだそう。

こうした研究の成果をもっと知ってもらいたいとプロジェクトを発足させた植野さん。6~7人の仲間たちと伏見の飲食店に寒天を使ったメニューを出してもらったり、イベントに寒天をPRするブ―スを出店したりと活動しています。

今、目指しているのは発祥の地を示す石碑の建立。「地元の人もずいぶん知ってくれましたが、まだまだ広めたい。寒天料理教室や寒天カフェも計画しています」

陶器市で、焼き物の産地だった
神宮道のにぎわいを再び

  • 陶器・磁器・ガラス作品を扱う店が出展。前や横側からゆっくり見てもらえるようにと、間隔を少し開けてテントをはるようにしているそう

  • 「色絵草花文摘蓋付花瓶」(右端)など、小川さんの父親のコレクションの粟田焼。〝玉子手(たまごで)〟と呼ばれる薄い黄色の色合いが粟田焼の特徴です

  • 「長く続けて、少しでも多くの人に来てもらいたいです」と篠尾さん

平安神宮の大鳥居の南側、仁王門通~三条通間の神宮道で、毎月第1土曜日、神宮道商店街組合が主催する「神宮道上る下る陶器市」が開催されています。2017年12月から実施されているイベントで、この辺りで盛んだった「粟田焼」にちなんでいるのだそう。

「〝京の七口〟と呼ばれた街道の出入り口、粟田口から『粟田焼』と名付けられた焼き物です。作り始められたのは江戸時代初期。明治時代には輸出も盛んだったと聞いています」と、神宮道で和菓子店を営む小川善一さん。

1907~12年ごろの粟田近辺の地図を見せてもらうと、「登り窯」を記すマークがたくさん記されています。陶器市の主催者の1人で、ギャラリーを営む太田節子さんは「今では想像がつきませんが、煙がモクモクとあがっていたのでしょうね」と当時に思いをはせます。

ところが昭和に入ると、粟田焼は衰退。一時は途絶えてしまったのだとか。「戦争の影響だといわれています。現在は復興したものの、作り手は1人だけなんです」(小川さん)

そんな粟田焼に注目したきっかけは、近くにある京都市美術館の再整備工事でした。

「これにより、神宮道の人通りが減るのではないかと。そこで、にぎわいをもたらすことができ、この町にふさわしいものはと組合で考えたとき、粟田焼がヒントになり、陶器市をしようというアイデアが出てきたのです」(太田さん)

7回目の開催となった6月2日。約10店が歩道にテントを設置し、さまざまな器を販売していました。

出展者の申し込み受け付けなどを担当している篠尾修平さんは、「近所の人だけではなく、チラシを見て来てくれる人もいます。粟田焼自体の販売はありませんが、いろいろな人に粟田焼についても知ってもらえる良い機会だと思っています」。

食事でも、スイーツでも!
さまざまな宇治茶漬けが楽しめます

  • 宇治茶漬けは店によってさまざま。「宇治創こころ」の「宇治茶漬けセット」はおばんざい(日替わり)3種付き(1490円・ランチのみ)

  • 右から、宇治商工会議所商工課・平尾知美さん、根来さん、澤本さん

宇治の名物といえば、宇治茶ですよね。この宇治茶を使って、ご当地グルメをと考案されたのが「宇治茶漬け」です。

「今までにない宇治茶の商品を作り、宇治茶をもっと広めたいと、飲食店の方々と考えました」と話すのは、開発に携わった宇治商工会議所業務課の澤本匡人さん。

昨年発足した「京都宇治ご当地グルメ~宇治茶漬け~協議会」の会長で、参加店でもある「宇治創こころ」の根来健司さんは、「宇治茶漬けのルールは、宇治茶を使うことと、宇治茶に合う食材を使うこと。2点に絞ることで、多くの店が参加しやすいようにしました。食事はもちろん、スイーツにアレンジした宇治茶漬けもあるんですよ」。

お茶漬けはシメに食べるもの、そんなイメージがくつがえされそうですね。

現在、参加店は19店。

「宇治橋通り商店街周辺だけではなく、小倉や黄檗でも味わえます。宇治市全体で盛り上げていきたいです」(澤本さん)

疏水沿いに立つ明治の洋風建築

ネオルネサンス様式と呼ばれるスタイルで、東面のポーチや円柱付きのバルコニーにその特徴がみられます

琵琶湖疏水第3トンネル西口付近に立つ洋風建築。京都御所の防火水道の目的で明治期に建てられた「旧御所水道ポンプ室」です。1987年まで「九条山浄水場」の一部として利用されていたそう。

注目されたきっかけは、今年から本格運航が始まった大津~蹴上間の琵琶湖疏水通船復活事業で、蹴上が船の発着場となったこと。京都市上下水道局では「旧御所水道ポンプ室の保存・活用に係る懇談会」を昨年設置。建物の活用が検討されているとのことです。私たちがその魅力を身近に感じられる日が楽しみですね。

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