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希少な〝巨椋池〟由来のハスが、宇治市植物公園で見頃に

かつてハスの名所として知られていた巨椋池(おぐらいけ)。宇治市、久御山町、伏見区にまたがる広大な池は、昭和初期の干拓によって消滅しました。
「宇治市植物公園」では、「巨椋池由来のハス」を保有。これは巨椋池の固有種で、日本植物園協会の「ナショナルコレクション」にも認定されているもの。その希少なハスが、現在次々と開花しています。

6月中旬の取材時に、「緑の館」前で咲いていたハス「巨椋の紅輝」と共に。柳さんが手に持つのは「ナショナルコレクション認定証」の楯

「こちらでは『巨椋池由来』のハスを約20年前から栽培しています」。そう話すのは、宇治市植物公園の植物管理・緑化推進主査の柳明宏さん。巨椋池の干拓によりわずかに残ったハス。愛好家などが1960年代から収集していたものを譲ってもらい、現在は62品種・90鉢を育てているそう。

それら「巨椋池由来のハス」が、日本植物園協会の「ナショナルコレクション」に認定されたのは昨年末のこと。同制度は、日本の貴重な植物を守り、後世に伝えることを目的として2017年にスタートしたもので、「巨椋池由来のハス」は全国で3例目の認定だそう。

「こうした制度を使うことで、多くの方々に地域の財産でもある植物に目を向けてもらえたら、と申請しました」

今年の5月、東北大学で行われた授与式にも出席した柳さん。認定証を受け取り、うれしさと共に品種の保全をしっかりとしていかなければという思いをいっそう強くしたといいます。

\これは見ておきたい!/

巨椋池由来のハス

「巨椋池由来のハス」の中でも、特徴的な四つを柳さんに教えてもらいました。
※写真は以前のものです

巨椋の曙(あけぼの)
花が開くにつれて真っ白に。花や見る時間によって色が変化
請所(うけしょ)の本紅(ほんべに)
多数の花弁が印象的。〝請書〟とは地名で〝本紅〟は屋号だそう
巨椋の炎
巨椋池系のハスの中では最も濃い紅色が、品種名の由来に
春日森(かすがもり)
同園の中でも花付きがよい品種で、柳さんのお気に入りなんだとか

ユニークな品種名にも注目を

「修景池」の柵沿いに約100個のハスの鉢が置かれています(このうち『巨椋池由来のハス』は63鉢)

「巨椋池由来のハス」は、植物公園内の「緑の館」前や「修景池」の周りに鉢植えで置かれています。品種を維持するために、別の種と交配しないようにしているのです。こまめに花を摘むなど、地道な作業が必要なのだとか。

注目はユニークな品種名。「巨椋の瑞光(ずいこう)」「巨椋の白鳥」など優美なものや、採取地にちなんだ「佐古外屋敷(さこそとやしき)」「ヘリ基地」「京滋バイパス巨椋ランプ南」といったものも。花に添えられたラベルを読むといっそう興味がわきそうです。

花の見ごろは7月下旬まで。紅や桃、白といった色や形も多彩なハスの花を間近でじっくりと鑑賞できます。なお、開花時期に合わせて毎年実施される「観蓮会」では、ナショナルコレクション認定の記念講習会なども行われます。

宇治市植物公園
宇治市広野町八軒屋谷25-1、月曜休
※月曜が祝日の場合は翌日休園。入場料大人600円
「観蓮会」
■開催日時
7月20日(土)・21日(日)午前7時~
※ハスの観賞は閉園(午後5時)まで可能ですが、開花は朝早くです
■内容(一例)
  • 講習会「ナショナルコレクション認定記念巨椋池の花蓮」
    20日午前9時30分~正午…植物園スタッフによるナショナルコレクションについて紹介。実際に花を見ながらの解説も。定員30人(要申し込み・先着順)
  • 「花蓮案内」
    20日・21日の各午前7時30分~8時…修景池付近のハスを解説付きで観賞・散策する30分のツアー。申し込み不要、現地集合

このほか、「象鼻杯体験」や「蓮ヨガ」(各20日・21日、象鼻杯体験は有料)、
「蓮の写真展」(21日まで)なども。いずれも入場料が別途必要

詳細は同園のホームページ(http://uji-citypark.jp/botanical/)でチェック、
または電話=TEL:0774(39)9387へ問い合わせを

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