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試写室・劇場から

ワレサ 連帯の男

4月26日(土)から京都シネマで公開

©2013 AKSON STUDIO SP. Z O.O., CANAL+CYFROWY SP. ZO.O., NARODOWE CENTRUM KULTURY, TELEKOMUNIKACJA POLSKA S.A., TELEWIZJA POLSKA S.A. ALL RIGHTS RESERVED

伝説的活動家がたどった道と、その妻の驚くべき存在感

近年、この日本で本当の意味での革命なんてあっただろうか。命という字が用いられているように、それはまさに命がけの活動なのだからと、この映画を見て思う。ポーランドの独立自主管理労組『連帯』の初代委員長を務めたレフ・ワレサの半生を、社会派の巨匠アンジェイ・ワイダ監督がダイナミックに描いた。ワレサを英雄と見て美化するのではない。一人の生活者であり、また、時にごうまんさを表す彼の、人間くささがきっちりと伝わってきて、見応えのある作品だ。

造船所で働く電気工のワレサが、1970年の食料暴動を発端に、次第に自分の使命を実感し、また、周囲からもリーダーとして認められていく姿を、後年のインタビューシーンを交ぜながら緊張感あふれる映像でつづっていく。ストライキや群衆に向けての演説の場面に胸が熱くなるのを覚えるが、同じ女性として、妻ダヌタの言動には目を見張った。体制側に目をつけられ、軟禁される夫を持つということ。気丈でないとやってられない。しかも、彼女は8人もの子どもを育てながら、家庭から夫に目に見えぬ援護射撃を送るのだ。単なる良妻賢母を超え、ダヌタは確かに夫と共闘したのだと思う。ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ、アグニェシュカ・グロホフスカ出演。

(ライター 宮田彩未 

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