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試写室・劇場から

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

10月18日(土)からTOHOシネマズ二条で公開

©2014 STONE ANGELS SAS

ハリウッドから公妃の座へ。政治をも動かせた名演技

グレース・ケリーという名前を聞いてピンとくる人は、映画好きか熟年以上の世代だろう。彼女が世を去ってすでに30年以上たつが、幾つかのヒッチコック作品で見られる恵まれた美貌(びぼう)と、ヨーロッパの小国・モナコのプリンセスへと転身した半生は、伝説そのもの。しかし、映画の冒頭で「私の人生は『おとぎ話のようだ』とよくいわれるけれど、それじたいが『おとぎ話』だわ」という彼女自身のことばが出てくる。そこにこめられた深い意味を、本作が教えてくれる。

グレースがモナコ大公レーニエ3世と、世界が注目するロイヤルウエディングを挙げたのは、1956年のこと。その6年後、ヒッチコック監督から新作映画主演のオファーがあるが、彼女は自身と王室を取り巻く多様な問題を突きつけられていた…。

王室内のスパイ行為や財政難、大国フランスの政治的圧力などによるモナコの危機を救おうと、グレースが“愛を語る公妃”としてひと芝居打つ、これが一番の見せどころだと思う。ニコール・キッドマン演じるグレースのスピーチは、人の心の繊細な部分を揺らす力を発揮するのだ。エレガントなファッションやジュエリーにも目を引かれる。レーニエ3世役にティム・ロス。監督はオリヴィエ・ダアン。

(ライター 宮田彩未 

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