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市民の手による「実相院門跡」の庭が完成間近 コケとともにみんなの思いが育っていきます

市民の手による「実相院門跡」の庭が完成間近

新緑のころは「床みどり」、紅葉のころは「床もみじ」。庭の木々が床に移る景色でも有名な岩倉にある「実相院門跡」で、昨年4月、「実相院こころのお庭プロジェクト」がスタートしました。これは全5回のワークショップを通して、一般市民が客殿前の石庭を作るというもの。完成間近、最後の集まりとなった10月のある土曜日も、参加者はコケを張る作業に汗を流しました。

トレイからコケを取り出し、地面に張っていきます。「コケの柔らかさを感じたいから」と、素手で作業をする人も多く見られました

「みなさん、コケを配りますので取りに来てくださーい」

参加者はプロジェクト実行委員会のメンバーである作庭家・小川勝章さんたちからコケを受け取ると、まだ土がむき出しのままの一角へ。さっそくコケを張っていきます。

京都市内から来たチヒロさんに話を聞いてみると、「普段は眺めるだけの場所に入れるのが魅力。自分が張ったコケがすくすくと育っているのを見るとうれしくなります」。この言葉通り、月に1度はこちらに訪れ、庭を眺めているそう。

「実相院はモミジや桜など、庭園とその周りにある木々の色もキレイ。それらとコケが調和した景色もすてきです」と、ひんぱんに足を運んでいるだけあって庭園の楽しみ方もツウっぽい!

皆さんが夢中になっている姿に刺激され、記者もコケ張りに挑戦することに。用意されているコケはスギゴケとスナゴケの2種類。7、8センチ角に分けたスギゴケを、少し力を入れて地面に押し付けるようにします。コケ張りはこれだけでOK。簡単ですが、庭作りに関われたという喜びはひとしお。記者の横で作業をしていた女性の、「あそこのコケは私が張ったんだよって自慢したい(笑)」という言葉にも納得です。

作業は約2時間で終了。仕上げに水をまくと、コケの色が際立ち、輝きが増していました。

作庭前(上)から、こんなに変化! 左写真の手前と奥に設置されたオブジェ、石、コケが張られた築山で、日本列島をイメージしているそう

関わる人のこころが感じられるように

プロジェクト実行委員会の小川勝章さんと、長友麻希子さん


同プロジェクトは、老朽化した客殿の再生への第一歩でもあるそう。「多くの人にプロジェクトに参加してもらい、見てもらうことで『実相院門跡』の魅力を知ってもらいたい」(長友さん)

昨年春、同プロジェクトがスタートする前の庭は、白川砂に大きな石が置かれたシンプルな石庭でした。

これを作り変えることができないかと実相院門跡から相談を受けた小川さん。一般の人が日本庭園を作る機会はない、いい体験の場になるのでは?と、実相院や仲間とともに「こころのお庭プロジェクト」を立ち上げたのだそう。関わる人の“こころ”が感じられるようにとの思いで名付けられたプロジェクトです。

作業の中心は、コケを張ったり、シランという植物を植えたりというもの。

参加者を指導する小川さんは「一見すると普通の枯れ山水の庭園ですが、違いが出るのはこれから。庭を作った参加者の思いはコケの下に広がり、庭がその思いを育てていきます。人の気持ちがいっぱい詰まった“こころの庭”が、見に来た人の心を動かせばうれしいですね」。

こちらの庭園は現在、小川さんらが最後の仕上げを施し、完成予定は12月13日(土)。庭園は、「実相院門跡」の拝観時間内であればいつでも見学できます。

●実相院門跡=左京区岩倉上蔵町121、TEL:075(781)5464。午前9時~午後5時。大人500円、小中学生250円 ※同プロジェクトに関する問い合わせは、実行委員会(株式会社アクシュ内)=TEL:075(748)1139

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