ホーム > > インタビュー

インタビュー

俳優 岸谷五朗さん

1964年生まれ。東京都出身。83年デビュー。
94年寺脇康文さんと共に演劇ユニット「地球ゴージャス」を旗揚げ。
同ユニットの企画・脚本・演出・出演の他、俳優、演出家として幅広く活躍。
演出で携わるミュージカル「ラディアント・ベイビー〜キース・ヘリングの生涯〜」は、
6月25日(土)・26日(日)、大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。

50代になったいまこそ
新しい何かに出会いたい

テレビ、映画、舞台で活躍する岸谷五朗さん。俳優のみならず、演出家としても目覚ましい活躍を続けています。6月には自身が演出を担当するオフブロードウェーミュージカル「ラディアント・ベイビー〜キース・ヘリングの生涯〜」の大阪公演も予定されています。50代を迎え、ますます意欲的な岸谷さんに話を聞きました。



その絵を見れば誰もが「ああ」とうなずくほど印象的な絵を生み出したポップアーティスト、キース・ヘリング。エイズで先が短いことを知ったキースが残された時間の中で生きる意味を探す姿を描くミュージカル「ラディアント・ベイビー」を岸谷さんが演出します。

「キースの絵はとてもキュートだけど、その奥には強いメッセージがある。彼が人生を走り抜けていったスピード感を、このミュージカルは持っているんですよ。熱気のあるエンターテインメントに仕上げて、われわれの熱量でお客さまの熱量を上げていきたい」

23年前、岸谷さんが立ち上げたエイズの啓蒙(けいもう)活動AAA(アクト・アゲインスト・エイズ)で、シンボルマークとなったのがキース・ヘリングのマーク。

「当時は、エイズという病気があまり正しく認識されていなかった。そんな時代に、世界的なアーティストのイラストを使わせてもらえたことが、何より心強かったんです。ラオスに小児病棟を造ったり、今こうしてAAAでチャリティーができているのもキースのおかげ。今回の演出で少しでも恩返ししたいと思ったんです」

全国公演の千秋楽を飾るのは大阪。
「舞台を積極的に楽しもうとしてくださる、大阪や京都など関西のお客さまが、日本で一番ブロードウェーの観客に近いと思う。関西のお客さまにはいつも『新しい作品をつくっていいんだよ』と背中を押されている気がします。演劇は、お客さまがいないと成立しない。ぜひ、われわれと一緒に舞台をつくりに来てください」

人生を駆け抜けたキース
そのパワーに学びたい


31歳で亡くなったキースに「自分は彼より20年も長く生きられたんだ」と意識することがあると、岸谷さん。

「僕も50代になって、ちょっと先が見えてきたんだろうね。この年代になったからこそ、出会いを大事にしたいと思う。予想もしない人、新しい才能ともっと出会いたいと思いますね。

人生は50代からが一番面白い。いまが一番、自由でいられる気がするんです。50代、60代、70代と上にあがっていく元気は、人生を駆け抜けたキースのパワーに学べると思う。だから、50代以上の方に、ぜひこの作品を見ていただきたいですね」

最後に、これから何かチャレンジしたいことがあるか聞いてみました。
「目標はないんですよね。目標を置くとそこに向かうだけになってしまうから。冷静に目標を決めるのでなく、自分が本当にやりたいのは何かを見極めて、そこに全力を注ぐんです。自分の欲に忠実になるのが、50代かもしれませんね」

(文・大原薫

このページのトップへ