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インタビュー

レジリエント・シティ京都市統括監 藤田裕之さん

藤田裕之さん、63歳。京都大学卒業後、京都市役所に勤務、教育委員会生涯部長、
右京区長を経て、2013年京都市副市長に就任、2017年3月任期満了に伴い退任

いまも、10年後も、20年後も、 〝しなやかに暮らす〟ことが大切

台風や大雨など、自然災害に見舞われることの多い今年。危機管理という観点から、私たちが日ごろから気をつけておきたいことなどを、「レジリエント・シティ京都市統括監」の藤田裕之さんに聞きました。



「レジリエント・シティって、なんか舌をかみそうな名前でしょ。日本では、あまりなじみのない言葉ですよね」

アメリカに本部を置く慈善団体・ロックフェラー財団が立ち上げたプロジェクト「世界100のレジリエント・シティ」の100都市の一つに、京都市も選定されています。昨年、初代統括監として就任したのが、藤田裕之さん。

「レジリエンスは英語で、弾力や回復力といった意味の言葉ですが、心理学では〝ポキッと折れない心のしなやかさ〟という意味でも使われます。こういった意味合いのレジリエンスを備えた都市が、レジリエント・シティです。1000都市以上の応募の中から、選ばれました」

弾力や回復力を備えた都市、とは―。

「概念的には〝雨降って地固まる〟という言葉が近いのではと思います。厳しいことがあっても、それを乗り越えもっといい状態にする、そんな力を持つ都市ということです。昨今の災害についていうと、そもそも自然を人間が支配することはできません。その都市に暮らす人々が自然の摂理の中で、どう生きていくかを考え、行動していくかが大切です」

地域の行事に参加することが 災害への備えになる

自然災害を考えたとき、私たちが日ごろからできることや心構えなどを教えていただけますか。

「たとえば、避難訓練。高齢化がすすむ現在では、1人暮らしのお年寄りも増えてきました。訓練の際には、そういった方に声をかけて、一緒に参加する。これを地域単位で、誰が誰に声をかけるかまで決めておくと、人々の行動力も高まりますよね。

また、マンションが増えて、町内会の形態も変わってきていますが、地蔵盆や区民運動会などに参加することで、近所の人たちと交流できます。地域の人同士が顔見知りになっておくだけでも、避難の時の声掛けや、安否確認の際など、いざというときに大いに役立ちます」

台風や大雨が接近しているときだけの防災対策ではなく、日頃から自分たちの暮らしている〝地域〟でできる何げないことが、大切なんですね。

「単に地域のイベントに参加するということではなく、そのイベントをきっかけに一人でも多くの人と交流することに、意味があるんです。地域コミュニティーを強くすることが、減災につながります」

藤田さんは、こうも話します。

「レジリエント・シティは、災害に強い都市というだけの意味ではありません。少子化かつ高齢化社会で、10年後、20年後の街づくりをどのようにしていくのか、京都ならではの祭礼や文化芸術、伝統産業、まち並や地域力の継承・発展についても、課題になってきます。1000年以上にわたって続いてきた京都のまち。先人たちはその時々に自分たちで考え、発展のため道を切り開いてきました。自分さえよければ、今さえよければ、まさかありえない、これらの言葉すべてが、レジリエンスの反対語。そう考えてください」

(文・山舗恵子

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