ホーム > > 特集:社会・生活 > 京都観光のキーワードは〝分散〟

京都観光のキーワードは〝分散〟

世界中から多くの人が観光に訪れる京都。にぎわいを見せる一方で、混雑による影響が問題となることもあります。そんな中、観光客が集中する時間や場所を〝分散〟させようと、多様な取り組みが進行中。今回は〝場所〟に注目しました。さまざまなエリアの魅力も伝わってきます。

外国人観光客が洛西や大原野をサイクリング

竹林の景色を楽しむセデリックさん(右)とアメリアさん(中央)

善峯寺は、京都市認定通訳ガイドの谷口麻衣子さん(左)が案内。「紅葉の季節に訪れるのもいいですよ」と話します

青々とした竹が美しい、西京区の洛西・大原野エリア。自転車で走れば、爽やかな風も感じられて気持ちが良さそう!

京都市や京都市観光協会などが実施するのが「とっておきの京都~定番のその先へ~」プロジェクト。京都市周辺部への誘客を進めています。その一環で、洛西や大原野を巡る外国人観光客向けのサイクリングツアーなど、体験型メニューの開発や販売促進に取り組んでいます。

取材日にツアーを体験したのは、オーストラリア出身のアメリア・スパンニョーロ・メッセンジャーさんと、フランス出身のセデリック・オルダシュさん。2人とも「洛西や大原野に行くのは初めて」。阪急「洛西口」駅付近からスタートです。

ガイドはサイクルベースあさひ洛西口店の谷口達誉さん。京都市洛西竹林公園周辺では、「この竹はモウソウチクという種類。20mほどに成長します」と説明が。アメリアさんとセデリックさんも興味深そうに聞き入ります。

その後は大原野にある善峯寺へ。急な坂道をなんとかこぎ切り、到着。境内の落ち着いた雰囲気に「静かですてきな場所」と、2人の疲れも吹き飛んだよう。「またゆっくりと参拝に来たい」と話していましたよ。

同プロジェクトでは、そのほか大原、高雄、京北など全6カ所でさまざまな体験型メニューを用意。ウェブサイトも開設するなど、観光客に向けて京都市中心部以外のエリアの魅力発信を図っています。

伏見のさまざまなスポットを〝語り部〟とともに

御香宮神社で実習中の、「伏見 文化・観光の語り部」のメンバー

「ガイドを通し、伏見の魅力を知ってもらいたいです」と話す、江嵜さん(左)と天辰さん

伏見といえば、千本鳥居で有名な伏見稲荷を思い浮かべる人も多いかもしれませんね。

「ですが、ほかにも御香宮神社や伏見城跡、三栖閘門(こうもん)、酒蔵が集まるエリアといった、おすすめのスポットがあるんです」。そう話すのは江嵜為丸さん。ボランティアガイドをする「伏見 文化・観光の語り部」の一人です。

昨年11月には、伏見観光協会が16人の「伏見文化・観光の語り部」を認定。メンバーはモデルコースで実習を重ねてきました。

「山、浜、酒をテーマにしたモデルコースを〝語り部〟の皆さんが案内します」とは、同協会とともに事業に取り組む伏見区役所の天辰公彦さん。1時間30分~2時間で各所を巡るといいます。〝語り部〟によるガイドは4月中旬から開始予定。詳細は同協会ホームページで確認できます。

「自然の豊かさや、酒の町、港の町としての魅力も感じてもらえたら。今は伏見稲荷に集中している観光客に、もっと伏見の各所を巡ってほしいです」(江嵜さん)

スポーツで町に人を呼び込む仕掛けも

和束町はマウンテンバイクの〝聖地〟。大会時はスピード感あるレースが観戦できます

京丹後市のビーチバレーボールのイベントの様子。きめ細かい白砂がアスリートから人気だそう

地域ならではのスポーツを観光の目玉に。笠置町、京田辺市、京丹後市、京丹波町、精華町、和束町では、スポーツで地元を盛り上げようとしています。

「〝スポーツ観光の聖地〟の取り組みを行っています」と、京都府商工労働観光部観光政策課の三田都志彦さん。

「イベントを開催するなど、スポーツをきっかけに観光客を呼び込めたらと考えています」

笠置町は、町の中央に流れる木津川沿いがボルダリングエリアとして人気。

「地域住民が協力し、ボルダリングを題材にした映画『笠置ROCK!』も製作されたんですよ。和束町では、マウンテンバイクが楽しめます」

京田辺市と精華町には、サイクリングの〝聖地〟としてサイクリングロードが整備。砂浜が広がる京都府北部の京丹後市では、ビーチバレーボールなどのビーチスポーツの大会が開かれています。

「観戦のほか、体験ができる場所もあります。京丹波町はフィールドホッケーが盛んですね」

フィールドホッケーと食を融合させるなど、さまざまなイベントが行われているそうです。

「観光客の分散は、混雑緩和以外にもメリットが。訪れた目的はスポーツでも、食事や宿泊、買い物をすることで、地域経済の活性化につながります」

各スポーツの〝聖地〟、今後の盛り上がりにも注目です。

このページのトップへ