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京都の陶芸の今



飲食ブースの器を〝プラ〟から陶器にチェンジ

トキノハ エシカルマルシェ

「トキノハ エシカルマルシェ2019」の主催者は、日常使いの清水焼を作る「トキノハ」。代表の清水大介さん(右)と弟の清水洋二さん。マルシェのために500以上の器を作ります

「清水焼の郷まつり」の一環で昨年から始まった「トキノハ エシカルマルシェ」。

きっかけは、「陶器まつりなのだから、飲食ブースでも陶器を使ってもらいたい」という主催者・清水大介さんの思いでした。それまで慣例的に使われていたプラスチック容器を陶器にしようという、新たなチャレンジをスタートさせたのです。

陶器の良さの一つは、使い捨てではないので地球に優しい点と話す清水さん。そこで、片付けにもエコの視点を取り入れました。

「洗い物をして汚水を流すと、環境にいい陶器を使っている意味が半減します。そこで、まず用意している布でお客さんに汚れをふき取ってもらい、その後スタッフが洗浄するというシステムを考えました」。節水にもつながるわけですね。

「とはいえ堅苦しいイベントではありません。『陶器で食べたらおいしい』ということを知ってもらうのが一番の目的です」

昨年の様子。今年も器の原料を扱う工場が会場に。「会場の空気感も楽しんでください」(清水さん)。飲食店を中心に10のブースが並びます

「トキノハ エシカルマルシェ2019」
開催期間 10月18日(金)~20日(日) 午前9時~午後5時
会場 清水焼の郷まつり会場内(京都市山科区川田清水焼団地10-2)

京都の焼き物、こちらにも注目

京都の陶芸の歴史とともにある焼き物は清水焼だけではありません。
それぞれの焼き物の今とは。

~粟田焼~
復興、そして後継者問題

寛永年間(1624年〜)に瀬戸から来た陶工が現在の東山区粟田口に窯を開いたことが始まりとされる「粟田焼」。卵色で細かい貫入(表面に入るひび)が特徴です。

この粟田焼は1984年に一度途絶えてしまいましたが、1995年に粟田焼の窯元の子孫である安田浩人さんが再興させました。現在、粟田焼を受け継いでいるのは、56歳になる安田さんただ一人。個展を開いたり、講座で語ったりしながら粟田焼を広める活動をしていますが、気になるのが後継者問題です。

「せっかく復活させた粟田焼をいかにして次の世代に伝え残していくかが最大の課題です。唯一残った粟田焼窯元の家として、次の一歩をどう踏み出すかを今考えないと、時間はもうあまり残されていません」

安田浩人さん。「〝好き〟〝やりたい〟という気持ちがないと、続けられない厳しい世界ですね」

~朝日焼~
異ジャンルとのコラボレーション

今から約400年前、宇治の朝日山の麓に初代が窯を築いたことから、その歴史が始まった「朝日焼」。この数年は積極的に新しい試みに取り組んでいます。

2017年には宇治川を臨むロケーションに「Shop&gallery」をオープン。気軽に朝日焼に触れられるスポットです。さらに今年からは、京塗り作家と共作をしたり、「コーヒーのお茶会」を開いたりと、異ジャンルとのコラボレーションにも挑戦。

「〝想像を超えたものを作り出す〟。それを繰り返しながら、茶や器の楽しみ方を伝えていきたいです」(Shop&gallery店主・松林俊幸さん)

宇治川の流れを感じられる「Shop&gallery」。「この場所で、朝日焼のファンを増やしていければ」と松林俊幸さん

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