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リアルさは写真以上!?シャーペンで描かれる優しいモノクロの世界

シャープペンシルで緻密(ちみつ)な絵を描き上げる画家、祐島(ゆうしま)貢さん。8月から東山区のギャラリーで初めての個展が開かれています。リアルさを追求し、人物画においては髪の毛を1本ずつ描くというこだわりよう。個展を訪ね、話を聞きました。


「人物画で一番集中力を要するのは目。目が死んだら絵はおしまい」と話す祐島さん

ギャラリーに入ってまず目を引いたのが、さまざまな人の似顔絵。ジャズミュージシャンのマイルス・デイビスや、野球選手のイチローさんといった著名人のほか、依頼を受けて描いたという子どもの絵…。ふんわりと柔らかそうな髪の毛、みけんに刻まれたシワ、滑らかな肌の質感など、絵か写真か一瞬見ただけでは分からないほど、リアルに表現されています。

「若いころに映画の看板を描くアルバイトをしたことがありますが、本格的に絵の勉強をしたことはないんです」という祐島さん。29歳のとき、建築設計の仕事に就き、長らく2級建築士として働いていましたが、「62歳のときに会社が倒産してしまい、暇に飽かして絵を描いていたのですが、それを見た知り合いがえらい褒めてくれまして(笑)。ならば、と最初は露天商という形で四条河原町や心斎橋で作品を売ったり、似顔絵を描いたりしていました」。

そしていつしかファンの間で「アートピカソ」と呼ばれるようになり、昨年からは東山区に拠点を移し、百万遍や上賀茂など手作り市を中心に活動するようになりました。




病を克服して描きたい次なるモチーフとは

祐島さんが作品を描くときに使うのは、建築士の仕事で使い慣れていたシャーペン。「しんの細さが、髪の毛や人の表情など細かな表現をするのにちょうどいい。鉛筆では描けないんです。リアルさを追求するために、輪郭も髪の毛も1本ずつ細い線を積み重ねて表現しています」。完成までかなりの根気がいりそうですが、熱中すると時間を忘れ、朝から夜中の2時3時まで描き続けることもあるとか。

実は現在、食道がんを患い入院中という祐島さん。取材時は外出許可をもらい、在廊しているところでした。

「手に力が入らないため、絵を描くことは少し休んでいますが、今後も続けていきたい。今は写実的な作品が主ですが、今後は自分の頭の中だけにある世界も表現していければ」
祐島さんが描く、生々しいほどに存在感のある作品たち。個展は月ごとに内容を替えて、9月・10月も引き続き開催されます。


会場では、繊細で緻密、驚くほどリアルに描かれた約90点の作品が見られます(月ごとに入れ替えあり)。写実的でありながら、絵の方が実物よりも表情がより優しく柔らかな印象に思えます

アートPIKASO個展
シャープペンシルだけで描く画家 ~ミツグの世界~

期 間 ◆10月1日(金)~31日(日)
午前10時~午後6時 月曜休
会 場 集・酉・楽(しゅうゆうらく)サカタニ(京都市東山区七条通本町西入ル日吉町222、ファミリーマート2階/京阪「七条」駅より徒歩1分)
入 場 料 無料
問い合わせ 集・酉・楽サカタニ=TEL:075(561)7974
ホームページ=http://www.sosake.jp/

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