ホーム > > 特集:社会・生活 > 「京都人は並ぶのが嫌い」って本当? 行列の“パーソン”テージを探る

みんな自分に合う仕事、どうやって選んでるの!

「京都人は並ぶのが嫌い」って本当?
行列の“パーソン”テージを探る

京都には、行列のできる店がたくさんありますね。その一方で、“京都人は行列が嫌い”ともいわれます。じゃああんなに長い列の中に、京都の人はいないの? 実際に行列のできる店で並んでいる人への突撃取材と読者アンケートで、行列の京都“パーソン”テージを探ります。

ネットを見た人や美術館帰りの人がいっぱい 山元麺蔵(東山区)

山元麺蔵(東山区)

中央の黒い建物が同店。南隣は民家ですが、「とても温かく見守ってくださっています」と山元さん。北隣のうどん店「おかきた」の列もスゴイ

5年前の開店当初は1日数組だけの日もあったのですが、徐々にお客さまが増加し、あるときを境に急に増えました。テレビや雑誌に出た時期とは違うので、やはりネットと口コミの影響でしょうか。
 紅葉や桜の観光シーズンの土日はやはりお客さまが多いです。京都市美術館など周辺施設の影響も。地元の常連のお客さまは、混む時をはずしてご来店くださいます。
 並んでいただいている間、夏は冷たいお茶やおしぼり、日傘の貸し出しに加え、熱中症対策に塩あめをお配りしています。冬は温かいお茶や毛布の貸し出しも。うどんをゆでたり天ぷらを揚げたりするのに時間がかかるので、オーダーもあらかじめ取っています。
 一杯のうどんを食べるために長くお待たせするのが申し訳なくて。だからその間、できる限りのことはしたいと思っています。(店主・山元克之さん)

岡崎公園横のうどん店「山元麺蔵」に、3連休の初日の正午に訪れると、約70人もの行列が!

最も多かったのは大阪や滋賀など、近県からの人たち。「ネットで評判がとても良かったので。1時間半くらい待つと聞いたけど、今日はここがメインだから覚悟してきました」という5人連れの若者も。大阪から夫婦で来た40代の女性は、「近くの京都市美術館に絵を見に来たので。夫は行列嫌いだけど私が食べたいから一緒に並んでもらってます」とのこと。

遠くは、千葉や茨木、広島、福岡などから。やはりネットの口コミサイトでの評判を頼りに来た人が多い様子でした。

京都の人は70人中8人で約11%。「以前に来て、おいしかったから」という京都市内から一人で来た20代の女性や、やはり美術館の帰りに来た宇治市からの4人家族が。「普段は並ばないけど、友だちが遅れてくることもあって、気長に待っています」と話してくれた20代前半の女性もいました。

それにしても、お店の人のオペレーションがとっても効率的。入り口近くの5~6人には、メニューを渡して入店前に注文を取ったり、日差しのきついところの人には、うちわや日傘を貸し出したり。こんな心遣いがあれば、行列のストレスもやわらぎそう。

ジモティーもビジターも列をなす! 出町ふたば(左京区)

出町ふたば(左京区)

「できるだけ店側に詰めてください」と、お店の人2人が、列を誘導しています。行列ぶりを写真に収める人もいますね

 豆餅は多い日で2000~3000個。作りながらどんどん出していくので、つきたてをお求めいただけます。昔は11月と言えば、正月のご用意でそんなに多忙ではなかったのですが、今はかえって忙しくなっています。京都に観光に来られる方が増えたためでしょうね。職人の作業をお子さんと「お餅ついてはるよ」とご覧になる方や、並びながら店内を撮影する方もおられます。
 前の通りは自転車も多いので、おけががないよう誘導係を出しています。多いときはお連れの方に列の脇で待っていただくようお願いすることもあります。
 地元の方は列の少ないときを選んで来てくださる方も多いようですね。柏(かしわ)餅(5月5日)以外は、ご来店前にお電話で注文をいただいておけば並んでいただかなくても良いので、品物が決まっているときはそうされる方もおられます。(店主・黒本平一さん)

行列ができるお店といえば、この「出町ふたば」を思い浮かべる人も多いのでは。看板商品の「豆餅」はもちろん、11月中までの「栗餅」など、季節商品を求めて来店する人も多いよう。

取材日の日曜昼下がり、並んでいたのは約50人。列は既に4重になっていますが、お店の人のテキパキとした対応のおかげで、どんどん流れていきます。

特徴的だったのは、京都の人の割合が高いこと。「鴨川に散歩に来たついでに寄りました」という夫婦もいました。「たくさん並んでいても、回転が早いので平気」という人が多かったですよ。世代も若者から高齢者までさまざま。男性1人で並ぶ姿も見られました。

次いで多かったのは、滋賀や大阪、奈良など近県からの来店者。「京都で一人暮らしをしている息子の家に来ると必ず寄ります。百貨店にも売っているけど、作りたてが買えるのはお店だけなので」とは、神戸から夫婦で来た40代の女性。

このとき最も遠くから来ていたのは、岐阜県からの親子3人連れでした。「以前買って帰って、おいしかったので。時代祭の見物帰りに寄りました」とのことでしたよ。

京都らしい豆腐料理で観光客に人気 とようけ茶屋(上京区)

とようけ茶屋(上京区)

2・3階の食事処「とようけ茶屋」に並ぶ人のほか、1階の豆腐やひろうすの売場を訪れる人も絶えません

 観光で来られるお客さまが多いようですね。お近くの方には、「行きたいんやけどいつも並んでるからなあ」と言われることもあります(笑)。
 北野天満宮の梅園が見ごろを迎える時季や、25日の天神さん(天神市)が土日に当たるときなどには、確かにもっと列が長くなってしまいます。ご近所にも迷惑がかからないよう、2列に並んでいただくなどしています。
 「待ち時間が長い」とお叱りの声も頂きます。私も店を作ったときは、これほどたくさんの方に来ていただけるとは予想もしていませんでした。スペースがもっとあれば、待合室を作ったり、いろいろ改善できるのになあ、と思うのですが、現段階ではご容赦をお願いするよりない状態です。(店主・山本久仁佳さん)

北野天満宮の門前にある「とようけ茶屋」も、お昼時には豆腐やゆばなどを使った料理を求める人たちで行列ができます。

取材に行ったのはこちらも日曜日。正午には約30人が列を作っていました。

偶然か、この日は京都外の人ばかり。京都らしい料理が食べられるとあって、特に観光客に人気があるのかもしれませんね。1人で並んでいる人はいませんでしたが、若者からシニアまで幅広い年齢層でした。

北野天満宮へのお参りついでに、という人のほか、何度か来ている同店のファンも多く、「今日はまだ少ない方ですよ」と教えてくれる人も。「リーズナブルでおいしいから好き」という声がたくさん上がりました。

「以前来て、お手ごろなのにとてもおいしかったので、友人を連れてきました。混んでいるのはわかっていましたが、せっかく来たので待っています」とは、東京から友人3人を伴ってきた40代の女性。 やはり大阪や兵庫、奈良など関西圏の人が多かったですが、中には三重や東京、福岡、それに香港からも! 「外国人観光客向けのサイトでこのお店がおすすめされていたのです」と、プリントアウトした地図を見せてくれましたよ。

このページのトップへ