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それぞれの答えに頑張りがキラリ 生きる力って何だろう?

それぞれの答えに頑張りがキラリ
生きる力って何だろう?

1年前に起こった東日本大震災を機に、自分や自分の大切な人たちが生きていることに感謝したという人は多いのではないでしょうか。さまざまなジャンルで活躍する人たちに、「生きる力」というテーマで、いま思うことを話してもらいました。



自家用車兼社用車は、いわきナンバー。「この車に家財道具一式を詰め込んで来たんです」と紺野さん(右から2番目)。「ようやく笑えるようになったのは、こちらに来て半年たってから。京都のみなさんの温かさに触れたおかげです」



「東日本大震災が起こってから5日で自主避難を決意しました。小さな子どもが4人いたので、一刻も早く決めようと。受け入れ先があるかどうかもわからない状態で、身よりが一人もいない関西へ車で向かいました」と振り返るのは、福島県いわき市出身の紺野英明さん。

現在は、宇治市にある京都府府営住宅で暮らし、昨年11月から「便利屋『ねこの手』」を開業。20年以上運送業に携わっていた経験を生かし、引っ越しなどの力仕事、掃除や家事代行なども請け負います。

震災の日、紺野さんは、幼稚園に通っていた長女と4時間連絡が取れなかったそう。

「街じゅうでけたたましいサイレンの音が鳴り止まない中、『もしかしたら』と不安で不安で。無事が確認できたときの気持ちは忘れられない。仕事人間だった僕が、この日を境に、毎日家族が何をしていたか細かいところまで振り返るようになりました。普通の毎日を積み重ねることが生きるということで、そのありがたさを知ったので」

当面の目標は「仕事の依頼件数を増やして、京都で家族6人生きていくこと」だとか。

「避難してきたけれど就職先が見つからない被災者の人たちに『一緒に働こうよ』と言ってあげられるくらいになりたいんです」

便利屋ねこの手=TEL:0120(891)954

「この冬は寒いから、右半身が痛むね。でも、リハビリは続けていて、必ず近所を歩くようにしていますよ。一番の元気のもとは、毎日店を開けることやけどね」と前田さん

「はい、お待ちどうさん」とカウンターに置かれた天丼には、エビや野菜の天ぷらがド〜ン!

「これ、ウチでは普通サイズやで。みそ汁・漬物付きで550円。いっぱい食べて、元気になってほしいから」と笑うのは前田一俊さん。京都市南区にある食堂「みずなぎ」を、妻の勝子さんと8年間二人で切り盛りしています。

もと公務員だった前田さんは、50歳のとき脳出血で倒れ、右半身にまひが残ったのを機に早期退職を決断。55歳でこの道に転身しました。

「『まだ先の人生を生きていかないと』と思っていたから、新たにできることを探そうと思って」と前田さん。

前田さんの料理する姿も見せてもらいましたが、左手を使って右手に包丁を持たせながら器用に食材を切っていきます。ここまでできるようになるために、何時間ものリハビリを、毎日欠かさず行ったそうです。「これまで普通にできたことができなくなったのがくやしくて、毎晩泣いてた時期もあったけどね。でも、女房に助けられました」と前田さん。献身的な介護を受けたのかと思いきや…。

「違う、逆なの。体が不自由な僕をほっといて、一人でどこにでも出かけるから、自分で自分のことをせざるを得なくなって(笑)」

「だって、私がやられてしまったら共倒れになるやないの」と勝子さん。いい距離感を保ちつつ、仲良く生きていくことが一番のリハビリなのかもしれませんね!

みずなぎ=TEL:075(681)6158

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