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京町屋を昔の姿のまま、守りたい

長年空き家だった築80年の町家を、中京区在住の画家で京都市文化功労者の木田安彦さんが美術館として再生。先月開館した「木田安彦美術館」は、大正期の町家のたたずまいを今に伝える希少な空間が広がっていますよ。

木田安彦さん。美術館2階に展示されている大作「朝鮮通信使屏風 1996 木版画」の前で。屋根瓦の一つ一つにも、木田さん独自の緻密な「かすれ」の技法が施されているのを目の当たりにできます

こちらは、祇園祭を題材にした作品

世界中を旅して集めた骨董(こっとう)品も作品とともに展示されています

「町家を残さんといかん、というのは僕の生きる哲学みたいなもの。京都の町家は今や“危機遺産”ですからね」と話す木田安彦さん(68歳)。

この思いが生まれたのは木田さんが大学生のころ。高度経済成長期の洋風建築ブームで、町家が壊され始めてきた時期なのだそう。

「町家の文化が消える前に、確かめるようにして自転車で町中の町家をスケッチして回りました」

20年前の約束を果たして

木田安彦美術館入り口。玄関の小屋根には「まねき猫」がいますよ

「木田安彦美術館」は、昭和7年に建てられた2階建ての町家全体が展示空間。大広間や床の間、廊下で木田さんの作品約50点を鑑賞できます。木田さんが世界中を旅して集めた美術品や家具も町家の空間になじんでいます。

「実は、僕は個人美術館を建てることにはまったく興味がなかったんです」と木田さん。にもかかわらず美術館を開館するきっかけになったのは、木田さんの母親と町家の持ち主の20年前の約束だったとか。

「母が持ち主と知り合いで、『息子は京都の町家を守る心意気があるから、人に貸すときは息子に声かけて』と言うてたんです」

去年の秋、急にその20年前の話が木田さんの元へ。最初は断ろうとしたそうですが、「母親の思いを大事にしてやろう」と思い直して再生に着手しました。

「僕が借りることで昔の姿のままに家を残せる。長年、町家を大切に考えてきた、僕なりの社会貢献のやり方です」と木田さん。

この取り組みを京都市景観・まちづくりセンターや京町家再生研究会も応援。京都市からは景観重要建造物に指定されました。また、世界中で文化財保護活動を行っているアメリカのワールド・モニュメント財団も、木田さんの思いに共感したことで改修費用の半分を出資。町家が世界的にも文化財として認められることにつながったのです。

「日本人には、『古びてゆく美を認める』という感性がありますね。この町家の空間で見たまま、感じたままに、自由に過ごしてもらえればと思います」(木田さん)

開館予定は下記期間の金・土・日曜日。
6月24日(日)まで、7月6日(金)〜8日(日)・20日(金)〜22日(日)、9月21日(金)〜30日(日)、10月5日(金)〜28日(日)、11月2日(金)〜18日(日)。
いずれも正午〜午後5時。入館料一般500円、高・大学生300円、中学生以下無料。
問い合わせは同館(中京区蛸薬師通高倉西入ル)=TEL:075(202)8136=へ。

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