ホーム > > 特集:子育て・子ども > 子どもに教えたい“お金のこと”

バランスのとれた金銭感覚を養うためには
子どもに教えたい“お金のこと”

ポイント2 子どもの心を育てる

心理学の観点で考える、お金バランスを育てるためのヒントとは? ここで紹介している同志社大学 心理学部・武藤崇さんからの提案について、家族で話し合ってみるのもいいですね。

同志社大学 心理学部
武藤崇さん
武藤さんは、同志社大学心理臨床センターで、このような“心の問題”に関する相談にも応じています。同センター=TEL:075(251)3282

「お付き合いの中でも、ここまでは使ってOKなど、周りに流されないで自分の基準を決められるようになってほしい」(olive/42歳)、「衝動買いをせず、計画的に使えるように」(M.K./47歳)、「物を大切にしてほしいので、一度本当に必要か考えてから買うように話している」(kyoko616/39歳)

これらの読者の声からは、衝動買いや無駄遣いをしてしまう自分自身をコントロールできるようになってほしいという思いが感じられます。

使い道を考えながら限られた金額をやりくりすることは、自己管理ができる心を育てることにもつながります。武藤さんによると、「それは、お金だけではなく、限られたもの、例えば時間などをセルフマネジメントする能力を高めることにもなるのです」とのこと。お金を管理することが、子ども自身の成長にもつながるということですね。

人は、抑制しようと考えれば考えるほど、その行動を取ってしまうという性質があります。衝動買いを我慢しなければと思っていると一時的には我慢できても、常にそのことが頭にあるので、どんどん買いたくなってしまうのです。まずは、人は我慢し続けることができないものだと認識することから始めましょう。

では、どうすればいいか? 

 私の提案は、お小遣い制を見直すということ。何もせずにもらえるお金だから、その価値が分からず使い方もあやふやになってしまうのです。お金を、あげる、渡すではなく、窓拭きをしたらいくら払うなど、“仕事”への対価として捉えてみては?

 このときに大切なのは、その質によって金額を変動させること。窓をキレイに拭けたからいくら、汚れが残っているから少なめなどです。こうすることで、自分の努力次第で金額が変わるということを理解し、プライドを持って仕事ができるようになります。そうすると、お金のために仕事をするという気持ちではなく、仕事が楽しいという気持ちから行動できるようになります。

 我慢ではなく、自分が稼いだお金だから大切に使おう、節約しないと、という意識も持てるようになりますが、当初は失敗するかもしれません。というのは、お金を手に入れると、つい使ってしまうということもあるからです。

 でも、親はそこで口出しせず、見守ってあげてください。たくさん使って、お金がなくなっても、それはすべて自分のせい。こういった失敗を繰り返すうちに、自然と計画性が生まれます。おじいちゃんやおばあちゃんにも理解してもらい、おねだりされてもお金を渡さないように協力をあおぎましょう。

ポイント3 親の姿勢を見せる

「子どもは親の背中を見て育つ」といわれていますね。多くの読者は自分のお金の使い方にも、気を配っているようです。こちらも、1ページ目に登場の堂坂さんにコメントをもらいました。

自分のやりくりを公開

子どもにお金の大切さを伝えるために、親自身は具体的にどのようなことをしているのでしょう。 「家計簿を見せる」(MHB48/43歳)、「家計のやりくりや節約していることを折りに触れて伝える」(りのあやママ/51歳)、「学費や塾代の話はオープンに」(さとゆうママ/39歳)というように、自分の使い方を見せたり、話している人が複数。子どもに伝えることで、自分の家計の引き締めにもつながるかも!?

金額をそのまま知らせることが必ずしも大切なことではありませんが、親のお金の使い方を伝えるというのは、とてもいいことだと思います。ただ、子どもが「自分の存在が負担になっている」とプレッシャーに感じてしまわないように、言い方に気を配ってあげましょう

“生活するイコールお金がかかる”と伝える

電気・水道・ガス・通信など、日常生活を送るうえで使うものにもお金がかかっていることは、子どもはなかなか理解しづらいもの。アンケートには「水を出しっぱなしだと、お金を捨てていることだと教えている」(のぎく/47歳)、「収入から、まずは生きていくために必要なお金を払う。残りの金額で余裕があれば欲しいものが買えると伝えている」(kiyopy/47歳)という声もありました。こうした声かけも、大切な教育といえそう。

光熱費などは、利用明細を見せるなど「見て分かる」ように工夫して教えると感覚がつかみやすいと思います

お金を稼ぐって大変!

アンケートの回答で目立ったのは「親が毎日働いて稼いだお金で生活をしていると、繰り返し話す」(yayuyo/42歳)という回答。多くの読者が子どもに伝えているようです。 働くことができない子どもに、労働の大変さ、すなわちお金を得ることの大変さを伝えるのは簡単ではありません。でも、地道に話し続けることで理解が深まりそうですね。

高校生なら学業に影響が出ない程度にアルバイトをしてみるのもいい経験に。働くとはどういうことか理解するきっかけになります

「かけいぼ診断」でおなじみのファイナンシャルプランナーの場合…

紙面でもおなじみのこちらの2人。ファイナンシャルプランナー、そして親でもある立場から、工夫をしている点を教えてもらいました。

子どもは中学1年生

八束和音さん

「無くなったらもらえる」は無し!

家庭で徹底していることは、「子どもに限られた範囲でやりくりさせること」と八束さん。学用品の購入や友達と遠出をするときの交通費もお小遣いの範囲内で。「追加でお金を渡すことはしません」とのことでした。厳しいようですが、子どもは成長とともに、自分の行動を調整できるようになりつつあるとか。
また、子どもが「見えるモノを買う」ことしか意識できないのは寂しいと、八束さん自身がお金を払って自己啓発につとめたり、募金をする姿を意識して見せるようにしているとのことです。

子どもは
中学3年生と高校3年生

山副耕一さん

日常生活の中で、世の中の仕組みを伝える

山副さんは、「お金の価値は、実際に自分が働いてみないと、理解するのは難しい。とはいえ、子どもでも世の中の経済の動きを理屈で学ぶことはできる」と話します。
普段はテレビから経済関連ニュースが流れれば、それを必ず食卓の話題に。特に、子どもにとっても身近な商品の値上げなどは、具体的で分かりやすいため、自分の暮らしにどう影響があるのかしっかり説明するとのこと。株など金融商品についてもその存在意義からレクチャーします。
ただ常に、「お金は簡単に稼げない。遊んでいては暮らしていけない」と口をすっぱくして伝えているのだそう。

読者アンケートに寄せられたお金の教育についての悩みに堂坂さんがアドバイス!

現金が手元に無くてもカードで買い物ができる世の中。子どもが「いくら使っているのか」を理解するためにどのような工夫をすればいいのでしょうか(yayuyo/ 42歳)

お金の感覚がある程度育つまでは、できるだけ現金を使う経験を積ませましょう。カード利用時には、その都度レシートを見せながら話すなど、地道に繰り返し説明をしてあげて

お友達との間でお小遣いの金額に差があります。「ウチはウチ、ヨソはヨソ」をどう伝えればいいでしょうか(たとみ/42歳)

「わが家の価値観はこう。だからあなたのお小遣いはいくら」と金額の理由を明確に伝えてあげましょう。それでも「友達に合わせて、もっと欲しい」ということであれば「どうして同じがいいと思うのか」「では、その差額をどうやって得ればいいと思うか」と本人に考えてもらいます。大切なのは、価値観は他人に合わせるものではないと伝えることです

このページのトップへ