夫と妻の秋の陣 夫婦の家事バランス

家事バランスを変えたい…ならばどうする?

「CAREER LABO」
代表・小松仁美さん
「家事のバランスを変えることそのものが目的ではなく、大切なのは、家庭の円満、幸せなど、その家庭の最終ゴールは何かを考えて夫婦が歩み寄ること。お互いのタイプやクセを生かしつつ、工夫してみてください」

読者アンケートの結果、現状は「9:1」や「10:0」が多数派。ですが、アンケートで「理想の家事バランスは?」と尋ねたところその平均値は、「7.07…:2.92…」。つまりほぼ「7:3」。「このままでよい」と答えた人も11人いましたが、もっと分担したいという声のほうが多数!

この現状と理想のギャップについて、マナーや話し方など、自分磨きに関する講座を行う「CAREER LABO(キャリア・ラボ)」の代表・小松仁美さんに聞くと、「家事は基本的に妻の仕事というイメージが根底にあって、夫に手伝ってもらうことに、抵抗がある人もいるかもしれません。ですが、仕事を分担することは、相手を信頼して任せるということ。妻に時間や心の余裕ができれば、家庭の雰囲気も良くなりますよね。もし、もっと分担をしてほしいと思っているのであれば、少し考え方を変えてみては?」とのこと。

そこで、読者のみなさんが実践している夫に家事参加を促すコツや小松さんからのアドバイスを紹介します。これらを参考に理想の家事バランスに近づけてみて。

コツ1:頼むときは“Youメッセージ”より“Iメッセージ”で

「家庭ごとに、最適な家事バランスは異なるはず。きちんとコミュニケーションをとったうえで、決めることが大切」と小松さん。何かお願いしたい仕事があるとき、ポイントは、“私”から始める“Iメッセージ”で、“依頼形”で話すことだとか。

「『(あなたは)~をしておいて』と主語が“あなた”になる“Youメッセージ”ではなく、『私は、(夫が)~してくれると少し時間ができて助かるんだけど…』というように、主語を『私』にして切り出すほうが、その仕事の役割や、自分がそうすることで妻に与える影響を夫が感じることができます。そして、ただ『~してほしい』と要望するだけではなく、『~はできそう?』『これについて話し合いませんか?』と、判断を相手に委ねる聞き方をしたほうがよいですよ」(小松さん)

アンケートでは、せっかく手伝ってもらっても、やり方が自分と違って困るという悩みもありました。 これに対して小松さんは、「何か頼むときには、どのようにしてほしいのかを、きちんと具体的に説明したほうがいいですね。単に食器洗いをお願いされても、やり慣れていないと、迷ってしまうことがあるのではないでしょうか」とアドバイスしてくれました。

コツ2:「好きなこと」「得意なこと」なら自発的な参加に

家事分担をしているケースでは、妻よりも夫の方が得意なこと、夫が好きなことを任せるという実例がありました。

「料理を作るのが好きなので、休みの日に作ってくれる。買い物は一緒にします」(プーさん・36歳)、「お風呂は夫が自分から“お前の力では汚れが落としきれないから僕がやる”と言って、昔からやってくれていました」(ハンコさん・36歳)

「その人の“強み”となる部分を生かしてあげるのも良い方法。自発性が生まれて、“やらされている感”がなく取り組めます」(小松さん)

“得意なこと”を夫に任せているのが読者の小西佐登代さん。夫の寿昌さんは、若いときに喫茶店でアルバイトをした経験があり、ある程度の料理ならできるのだとか。取材に訪れた日は佐登代さん、娘の美桜(みお)ちゃんのために、オムレツを作っていました。
「平日の家事は妻に任せていますが、休日はできるだけ主婦業を休みにしてあげようと決めているんです」(寿昌さん)。「休みの日には、朝食を作ってくれます。コーヒーをいれたり、サンドイッチやホットケーキもおいしいですよ。おかげで私は子どもと過ごす時間が持てますし、趣味の吹奏楽の集まりで朝早く出かけるときも助かります」と佐登代さん。美桜ちゃんは「卵焼きとステーキはお父さんの方が得意」と、お父さんの料理を心待ちにしているとか。

コツ3:感謝の気持ちは具体的に

「夫にしてもらったときはほめる。『ありがとう』や『助かったわ』と必ず言う。そうすると、次も嫌がらずにしてくれます」(さとゆうママ・40歳)という読者も。感謝の気持ちを伝えることももちろん大切ですよね。

「お礼を言うときにも、『~してくれて、ありがとう』と、具体的に何に感謝をしているかを付け足すと、さらに気持ちが強まります。毎日ありがとうと言うのが照れくさければ、『~してくれたのね』と事実を告げるだけでも十分。夫は、『自分のことをちゃんとみてくれているのだな』と感じ、相手の役に立っている、自分のやっていることは意味があると、“満たされた気持ち=自己重要感”が生まれて、やる気をもってくれるでしょう」(小松さん)

読者の“どうしよう”を解決するには

「現状のバランスに不満はありません。ただ、夫が仕事をやめたときは新たなルールが必要だと思っています」(りんご・36歳)

夫が仕事をしている現在は「9:1」「10:0」だけど、夫が定年退職して、家にいるようになったら、考え直したいという読者もちらほら。
実際に、「夫が退職してから私が寝坊になったので、食事の支度を手伝ってくれるようになった」(のりぴー・61歳)、「夫はサラリーマンのときはほとんど家事は手伝いませんでした。定年後8:2の割合までできるようになりました」(ヤマスキ・72歳)と、状況が変化した時点で、バランスが変わったという実例が見られました。
ですが、定年後、急に料理や掃除…というのは、難しいかもしれません。まずは、理想のバランスに近づけるよう、将来を見据えつつ話し合ってみるのもよいですね。

「以前、お風呂掃除を夫にお願いしましたが、毎日せず、2、3日に1回になり、そのうち週に1回となり…。なのでまた妻の役割に戻しました」(とも・34歳)

「コツ3で紹介した〝自己重要感〟を日々感じていないと、その仕事が嫌になって、最後までできなかったり、毎日継続できません。ごくたまに声を掛けるだけでは足りないんです。よく夫の姿を見て、声掛けをしてください」と、小松さん。
それでも手伝ってくれなくなったら―?
「それには理由があるかもしれないので、聞いてみましょう。その場合も『なぜしてくれないの!』と、『なぜ』と聞くと、相手を追い詰めてしまいます。『何かやりにくいことがあるの?』『最近時間がないの?』と疑問形で聞いて、ここでも相手に答える選択肢を。そこで理由がはっきりしたら、改善策を一緒に考えてみてはどうでしょうか」

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