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筋肉ってたいせつ!

“筋トレ”で高齢者も筋量アップ

「高齢者でも、運動によって筋量を増加・維持することは可能です。ただし、軽い運動だけでは不十分。筋肉に負荷を与える筋力トレーニング(筋トレ)が特に重要になってきます」

筋トレでは、疲労を感じるくらいの運動強度が大切とのこと。

「強度が弱いと効果がなく、強すぎるとケガのリスクが増加。その人の筋力に応じたプログラムで、マシンなどを使ってきちんとトレーニングした場合、3カ月で筋量が約20%アップしたケースもあります」

週2回以上を目安に お手軽筋トレ

伸縮性のあるゴムまたはバンドを用意。
始める前にストレッチなどの準備運動をしておきましょう。

太もも(前)

椅子に座り、膝を曲げてゴムに足をかける。手は腰の位置で固定する

曲げた膝を地面と平行に伸ばす

太ももを胸に引き寄せるように
①の位置に戻す

②③の動作を、左右10回ずつ行う

太もも(後)

両足首の間を握りこぶし1個が入るくらい開け、ゴムで結ぶ

椅子に浅く腰をかけ、膝を軽く伸ばして両足を前方に出す。手は横に軽く添える

片足を後方に引き、再びその足を②の位置に戻す

③の動作を、左右10回ずつ行う

  • ●ゴムの長さを調整し、「10回やると、ややキツイ」程度に強度を調整
  • ●勢いをつけず、ゆっくりとした動作で行う
  • ●関節に負担をかけないよう、足は最後まで伸ばしきらない

コツコツ“貯筋”するための1日の過ごし方

では将来に備え、今からできることは─?京都予防医学センター「健康づくりセンター」の池本敬博さんと、管理栄養士の古田千壽さんに聞きました。

「サルコペニアを予防するには、日常的に運動をし、習慣化していくことが大切です」(池本さん)

「運動をベースに、栄養バランスの取れた食事をすることが“筋肉を育てる”基本。筋肉の合成に必要な栄養素も意識して取り入れ、効率よく筋肉を育てましょう」(古田さん)

そこで、前述の藤田さん、池本さん、古田さんのアドバイスをもとに、“筋肉育成”のための1日の過ごし方を提案します。皆さんの生活にも取り入れてみて。

朝

主食・主菜・副菜をバランスよく
「ダイエットなどのため、偏った食生活をしていると、体重と同時に筋肉まで落としてしまいます。必要なエネルギーと栄養素を摂取するには、朝食を含め、3食をきちんと食べることが大切。ごはん・パンなどの主食と、肉・魚・卵などの主菜、野菜・海藻などの副菜をバランスよく取りましょう」(古田さん)

「BCCA」に注目

「筋肉の合成に必要な栄養素のひとつがタンパク質。中でも、重要なのは必須アミノ酸の『BCAA』(ロイシン、イソロイシン、バリン)で、特にロイシンには筋肉の合成の働きを高める作用があるといわれています」(藤田さん)。「ロイシンは、肉・魚・乳製品などの動物性タンパク質に豊富に含まれています。タンパク質は、ビタミンD(イワシ、サケ、サンマ、キノコ、卵など)と一緒に摂取すると吸収が高まります」(古田さん)

出勤時は階段を利用
「階段の上り下りは、太ももの筋肉だけではなく持久力をつけることにもつながります。通勤時などに、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使うだけでも1日の運動量はアップ。体力に余裕のある人は、1段飛ばしで上がるとより効果が期待できます」(池本さん)

昼

しっかり食べてエネルギー補給
「活動量の多い日中は、意識して、しっかり食事を。肥満が気になる人は、お肉なら脂肪が少ない部位を選んだり、蒸す・焼くなどの調理方法を工夫するといいですよ」(古田さん)
買い物は徒歩で
「買い物は、車や自転車を使うのではなく歩いて行きましょう。ウオーキングなどの有酸素運動を日常的に行うことで、食事による筋肉の合成を高める働きがあります」(藤田さん)
待ち時間を活用して、かかとの上げ下ろし
「ふくらはぎの筋肉は、“第二の心臓”ともいわれています。信号やレジの待ち時間に手軽にできる筋トレが、“かかとの上げ下ろし”。3秒間かけてゆっくり上げ、3秒間かけてゆっくり下ろすのがポイントです」(池本さん)

夜

鍋料理は具だくさんで
「鍋料理は一度に多様な食材が食べられるので、栄養不足を補うのにピッタリ。ただし、夜は活動量が少ないので、夕食は就寝の2〜3時間前に取り、摂取量は控えめに。食べ過ぎと就寝前の食事は、肥満を招くほか、筋肉にとって必要な休養(=睡眠)を妨げることにもなります」(古田さん)
家事をしながら、テレビを見ながら
「キッチンに立っている時は、足腰の筋肉を鍛えるスクワットを。レンジで食事を温めている間などの短い時間で構いません。リビングでテレビを見ているときなどは、体幹のトレーニングになる四つんばい運動がおすすめです」(池本さん)
筋トレ&食事は
タイミングも大切
「筋トレをした直後は、運動と栄養摂取との相乗効果が高くなるタイミング。2時間以内に食事を取ることで、トレーニングの効果がより出やすくなることがわかっています」(藤田さん)
スクワット

足を肩幅に開き、背筋を伸ばす

腕を前に出し、3秒かけて椅子に座るように膝を曲げる(膝がつま先より前に出ないよう注意)

3秒かけて元の姿勢に戻る

①②の動作を、5〜10回を目安に行う

四つんばい運動

四つんばいになり、左手を前方に、右足を後方に伸ばす

顔は前方を向き、そのままの状態で、7つ声を出して数える(左手と右足は一直線に、手足がふらつかないようキープ)

手と足を換え、①②の動作を行う

教えてくれたのは

立命館大学
スポーツ健康科学部
教授・藤田聡さん
サルコペニア研究の一環として、予防のための筋トレ「健康バンド」を提唱
京都予防医学センター
健康づくりセンター
池本敬博さん
健康運動指導士として、介護予防や生活習慣病予防の運動療法を指導
京都予防医学センター
管理栄養士
古田千壽さん
同センター外来にて、栄養指導や栄養相談などに対応

記事内で紹介している運動は、転倒防止などの観点から下半身を重点的に鍛えられるものを扱っています

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