なぜ、こうなっちゃうの!?売り言葉に買い言葉

ケース3:売って、買って…。いつもの展開にウンザリです

夫と子どものしつけについて話している時。「もう、どうしたらいいかわからへん。もうちょっと関わってよ!」と言うと、夫は「こっちも仕事で死にものぐるいでやってんねん!」。いつも会話が平行線で、半ばあきらめの境地です(42歳/T.M.)

水谷さん

悲鳴に近い言葉の応酬ですが、感情的なアピールが相手に伝わると思っているのがそもそもの間違い。〝攻め方〟を変え、客観的かつ具体的に伝えられるようにしないと、今後も同じ。
自分を落ち着かせるには、〝数字〟を物言いの中に絡めるのもひとつ。
「5分だけいい?」「1つだけ教えて」というように、客観的な数字に置き換えるようにすると、物事を違う視点から見ることができます。また、相手に冷静な印象を与えられ、時間や量の目安ができることで、あなたの言葉も受け入れやすくなるのでは。

晃瓶さん

あなたは一生懸命SOSを出しているつもりでも、夫は「怒られている」「命令されている」と感じているのかも。
ポイントは、「もっと関わってもらえたら、〝助かるんだけど〟」「やってもらえたら〝うれしい〟」というように、相手を認める言葉を付け足すこと。「助かる」「うれしい」と頼られると、頭ごなしに突き放せないものです。怒りの印象も薄まり、あなたの本意も伝わりやすくなると思います。
そしてご主人! あなたも妻の日頃の頑張りを認めて、感謝することが大切ですよ。

ケース4:投げやりな態度に怒りが止まらず

パートの後輩に仕事を教えている時、後輩が「必要あるんかなぁ」と一言。「せやから今、言ってるやん!」と語気を強めて説明を続けても、後輩は「はい、はい」と投げやりな返事。また腹が立って、どんどんまくしたててしまいました。翌日からお互いぎこちなくて。なんとか、もとのきさくな関係に戻りたいのですが…(Y子)

水谷さん

ここは、率直に謝るしかない!「あのときは言い過ぎた、ごめん」とちゃんと伝えましょう。そのうえで、職場の先輩として「なぜ、必要じゃないと思ったの?」と聞いてほしいですね。
確かに後輩の口の聞き方は生意気ですが、その本音は仕事の改革や改善に役に立つヒントだったかもしれません。
一緒に仕事のやり方を考えたり、上司に提案したりといった方向に転換できれば、前以上によい関係が築けて、会社にとてもプラスになるはず!

晃瓶さん

〝笑い〟でも、上から目線ではなく、相手と同じ目線に立つことで、心がほぐれ、笑いが生まれてきます。
今回のケースなら、「私も必要かどうか、よくわかってへんかも。今から覚えとかへんかったら、私みたいになるよ~」と、相手の言葉に乗っかって、さらに自虐ネタで切り返してみる。予想外の反応が返ってくると、「いやいや、そんなこと…」と、相手も歩み寄りやすくなります。
一所懸命って、真正面から押すことだけではありません。今後は、余裕を持った大人の先輩として、時には引いてみる方法も身につけてみては。

リビング読者40人のアンケートより。1月10日~15日にファクスで実施

リビング読者に聞きました

「売り言葉に買い言葉」で、ケンカになったり、
気まずい思いをしたことがありますか?
「ある」「ない」の割合はほぼ五分五分という結果に。
ただし、「ない」の回答の中には、「〝今〟はない」「昔はあった」という意見があり、実際の数字より多くの人に売り言葉・買い言葉の経験があるよう。
Q1、上記で「ない」と答えた方は、なぜ自分はないと思いますか?
  • 年齢とともに、売り言葉に買い言葉のようなけんかをしても何もいいことがないと気づきました(65歳/S・K)
  • 昔はあったけれど、最近は友人よりご近所や職場の人と話すことが多いので、そこまでの会話にならない(52歳/りのあやママ)
  • 極力もめごとにならないようにしたいので、多少のことを言われてもガマンして受け止めている。ストレスはたまるけれど、もめるよりマシ!?(38歳/ゆずりん)
Q2、「売り言葉に買い言葉」にならないよう、心がけていることは?
  • 心の中で思っていても、最後のとどめの一言は言わないようにする(48歳/M.K.)
  • 返事をする前に、ひと呼吸置いて相手に言われたことの意味を考えてみる。なかなかできませんが…(38歳/れいこ)
  • 会話中、なるべく笑える表現やジョークなどを入れたりして、会話を楽しむよう心がけています(55歳/コモモ)
  • 嫌な気持ちになったときは話題を変えるか、流すようにしている(45歳/ぐどんママ)

3人の専門家からも、アドバイスをもらいました。

感情は長続きしない。この特性を生かして
怒りを感じると、過去に起こった出来事が次々に思い出されて、感情が高まり、言葉のやり取りがエスカレートしがち。人はその時の気分に一致するものを思い出しやすい傾向にあり、冷静さを欠いているときに大切な決断をすると判断を誤りやすいので、まずは冷静になることが重要です。「ちょっと落ち着こう」と提案したり、第三者に参加してもらったり。感情は長続きしないという特性もあるので、時間をあけてから、あらためて話し合うのもひとつの方法ですよ。(石盛真徳さん)
コミニュケーション学習のひとつと考えて
切羽詰まったときに出てくる本音をぶつけ合うことで、傷ついたり、痛い思いをしたり。でも、そういう経験を積むことで、相手との適度な距離感や言葉の選び方が実感として身に付いていくものです。売り言葉・買い言葉は、コミュニケーションの学習の機会であり、トレーニングのひとつ。失敗したら反省して次に反映し、悪いと思ったら謝る!(笑)。おおいに言い合い、闘って、自分を鍛え、人生の幅を広げるチャンスにしてください!(水谷伊久子さん)
日頃からその人をよく見て
本音をぶつけ合えるのは、そもそも仲がいいからこそ。大切に思っている相手であれば、日頃からその人をよく見て、よく話を聞いていれば、その場の空気や適度な距離感がつかめてくると思います。そして、「今、何をどう言えばいいか」もわかってくる。落語は売り言葉と買い言葉の応酬ですが、温かい気持ちで笑えるのは、根底に人のいとおしさやおかしみが伝わってくるから。笑いを上手に使って、言葉の掛け合いを楽しんでほしいですね。(笑福亭晃瓶さん)

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