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子どもを取り巻くSNS事情

トラブルに巻きこまれないために
親も、きちんとした知識

「SNSの普及に伴ったトラブルも増えています」と原田正己さん。SNSを利用していて、面識のない相手に自分の連絡先や画像を安易に渡してしまったり、ゲームのアイテム欲しさに費用がかかるサービスを利用した揚げ句に「ネット犯罪」に巻き込まれたり。また、食事中でもスマホが手放せない「ネット依存」の子どもたちも増えています。

子どもを通じて保護者向けに配布されたリーフレット

京都市教委の山𦚰安三さん

先月、京都府と京都市の教育委員会、京都府警察本部では、連携して保護者向けの啓発リーフレットを、府内(京都市、国立、私立含む)の全小中高等学校と特別支援学校に配布(右写真)。「毎年こういったリーフレットは配布しているのですが、今年はSNSについて重点的に取り上げています」

京都市では、携帯電話事業社が1年間で小中高約160校の児童生徒を対象にした「ケータイ教室」を実施。スマホの適切な利用方法や危険性などについて指導しています。

また、「携帯電話市民インストラクター」による講演やワークショップも実施。「インストラクターは一般市民。保護者と同じ目線で、自分たちの体験を踏まえ、子どものために保護者ができることについて、熱意をもって伝えています。子どもだけでなく、親もSNSに対する意識と知識を持ってほしい。そして、子どもを正しい判断ができる人間に育てていってほしい」と山脇安三さん。

他の市町でも、児童生徒向けに使い方、マナーや情報モラルを指導する教室が開催されています。

現段階で、使用制限などの法規制が未整備のSNSは、親子で考えていかなければいけないようです。下に、家族で実行したいルールの一例、困ったときの相談先を掲載していますので、参考にしてみてくださいね。ふきだし内は、読者の家で実施しているルール。

わが家のSNSルール一例
役に立つルールを作るポイントは、次の3つです。

  • 携帯電話やスマホは、親がお金を払って子どもに貸しているものということを前提にする
  • 親子で、SNSの危険性とルールの必要性を話し合う
  • 家族みんながルールを守ることを誓い合う

読者の悩みにアドバイス!

読者アンケートで寄せられた不安や心配事について、
京都市の携帯電話市民インストラクターにアドバイスしてもらいました。

どこで落とし穴にはまるか分からないSNSは、
親が管理しきれない不安があります。

中2と小4の娘は、スマホや携帯電話を持っておらず、SNSも利用していない。中学生になると周りの友達のほとんどがスマホを持ち、子どもも欲しがるが、友達関係が悪くなっているとは思えません。

親子のコミュニケーションが大切に

菅原邦美さん

今や、携帯電話やスマホのある生活は当たり前。子どもたちのゲーム機や音楽プレーヤーなども、インターネットにつながっている時代です。
いずれはスマホを持つことを念頭に、今のうちから「親子のコミュニケーション」をしっかりと取るようにしましょう。たとえば、トラブルに巻き込まれたときに子どもが親に相談できるような関係は、普段からの積み重ねが必要だと思っています。
いざスマホを買い与えるときは、危険性や対処方法を親子で話し合い、たとえば「家庭内ルール」をお互いに守る約束を。ルールが守れるような決まり事を設けるのがいいですね。
私自身、息子が中学生のときに息子の携帯電話に不正請求メールが届いたことがあります。そのとき、息子はすぐ私に相談してくれたので一緒に考え、京都府警に連絡し迅速に解決できました。子どもを守れるのは親だけ。子どもの変化を見逃さず、寄り添う姿勢を持ち続けてほしいですね。何でも相談しあえる親同士のネットワークがあると、心強いですよ。

「SNSを利用する中で隠し事をしない」など子どもとの約束事にしていますが、〝知らない人〟との出会いが一番心配です。

中2女子が携帯ゲーム機で、小6男子がパソコンでSNSを利用。
親も数種類のSNSを使っています。

ゲームつながりで〝知らない人〟を友達と錯覚

團野泰行さん

SNSを通じて犯罪被害にあった子どもの8割以上が、自分の携帯電話のメールアドレスを交換していました。危険な行為に対する自覚がなく判断も甘い。個人情報を自分で流してしまっているんです。そして、ゲームという共通の話題が安心を呼び、友達と会う感覚で〝知らない人〟と会ってしまうことに。
「何がいけないの?」という認識の甘さは、大人にもあります。たとえば、流出した個人情報が〝なりすまし〟という犯罪に発展することは、容易に想像できると思います。まず、親の意識を変え、子どもにさりげなく「SNSで何してるの?」と尋ねてみてください。
フィルタリング(※1)や公開設定などの利用制限も大切ですが、親としてもっとも気を付けなくてはいけないのが「子どもに機器のパスワード(※2)を教えない」ということ。大人が機器を管理する重要性を子どもに説明できるようになってください。
※1…フィルタリングとは、アダルトサイトや出会い系サイトといった子どもたちに見せたくない有害サイトの閲覧を制限する機能
※2…ダウンロードなどができないよう機能に制限をかけるために必要なもの

寝るまでスマホを操作していたり、通知サウンドが鳴るとすぐ返信しているようです。

親、高3・中3・中1の子どもたちがそれぞれスマホでLINEを利用。
便利に使えば問題ないと思っていますが…。

実は、子どももSNSに疲れているのかも

松田玲子さん

〝依存〟に近い状況ですよ。子どもの利用状況が把握できないなら、「ごめん。ほっておいたわけではないけど、SNSを使っていると、しんどいことや危ないことも多いようやし、一緒に考えてみよか」と、親の気持ちを伝えて、寄り添ってみてください。いきなり、スマホを取り上げるような極端なやり方は、思春期の子どもに対して適切とはいえませんが、一度SNSと〝距離〟を置くことを話し合ってみては。いつまでも続くメッセージのやり取りに、実は、子どもも疲れているのかもしれません。
「子どもを信用している」と、「好きにさせている」は違います。インターネットという大人の世界で、子どもは判断できないですし、責任もとれません。親の責任です。
説教には拒絶反応を示しても、会話の中でなら子どもの心に届くものもあります。メリットとデメリットについて話し合ったり、家族でスマホの使い方を見直してみるのもいいですね。たとえスマホに詳しくなくても、モラルやマナーなど親として子どもに教えられることはいっぱい。
スマホに振り回されるのではなく、スマホを家族のコミュニケーションのネタにするぐらいの気持ちを持ってください。

携帯電話・スマホの相談窓口

公的な携帯電話・スマホの相談窓口がいろいろと開設されているので、
トラブルに巻き込まれたり、困ったときは、なるべく早く相談を。

京都府の通報・相談窓口
  • 「ふれあい・すこやかテレフォン」(年中無休24時間対応 京都府総合教育センター)
    TEL:075(612)3268、3301
  • 「ネットいじめ通報サイト」
    http://www.kyoto-be.ne.jp/gakkyou/netijime.htm
京都市の通報・相談窓口
京都府警察本部(少年サポートセンター)相談窓口
  • 「ヤングテレホン」
    TEL:075(551)7500(年中無休24時間対応)

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