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古墳を通して感じる古代ロマン 京都で“コフニスト”

今年、東京で奈良県明日香村・キトラ古墳の壁画が初めて村外公開されるなど、古墳の人気は上昇中。連休は地元の古墳を訪ねてみませんか。そしてあなたも、〝古墳好き=コフニスト〟を目指しましょう! ※紹介した古墳には、いずれも駐車場はありません。公共交通機関の利用を

住宅街の中に巨石!地域の人々に守られています/蛇塚古墳(右京区)

昔から近所に住んでいる人の話では「20~30年前は、今みたいに柵で保護されていなくて、子どもがよじ登って遊んでたよ(笑)」とのこと。街の人たちの暮らしとともにあったんですね

住宅街の中、突如現れるこの姿! 圧巻です。右京区太秦面影町にある蛇塚古墳は、京都府下最大の石室を持つ、7世紀ごろにつくられたと考えられる前方後円墳です。当時、太秦一帯で権勢をふるっていた秦(はた)氏一族の墓といわれています。

現在は、住宅に囲まれている蛇塚古墳。もとは全長75mの前方後円墳でしたが、現在残っているのは石室部分だけ。かつて石室を覆っていた盛り土は雨風などで流れ、巨石が露出した状態に。かえってそれが神秘的な味わいになっている印象も…。

石室の石は、大きいもので縦4m・横5m・高さ2.5m。「機械のない時代に、どうやって積み上げたんでしょうね」と和田さん


古墳の向かいに住む、蛇塚古墳保存会の和田幸重さんに石室の中を案内してもらいました。蛇塚古墳は市の委託で、約20年前から近所の人たちによる保存会が管理しています。古墳の周りの雑草がきれいに刈られていて、大事にされていることが一目瞭然。「全国各地から多くの方が見学に来られます」と、和田さんは誇らしげです。

石室に入ると、「夏でも涼しい」との言葉通り、ひんやり。その昔は、ここに多くの蛇がいたことが名前の由来だそうですが、今は見当たらないとか。

棺が置かれていた「玄室」と呼ばれる石室内の空間は広く、床面積の大きさは全国第4位です。

見学(無料)を希望する人は、1週間前までに京都市文化財保護課=TEL:075(366)1498=に申し込みを。

5~6月の一般公開には全国から見学者が/物集女車塚古墳(向日市)

(左)墳丘に生えている杉の木がシンボル。小学生が課外授業で歴史を学ぶ場として親しまれています (右)このエリアにはほかにも古墳がありますが、地図では記事で紹介した古墳の位置を記しています

全長約46mの前方後円墳で、6世紀半ばにつくられたとされる物集女(もづめ)車塚古墳。

「車塚」という名前には2つの由来があるといわれています。1つは、淳和天皇の棺を乗せた車が埋められているという言い伝え、もう1つは古墳の形に関係しているのだとか。

「前方後円墳とは古墳を上から見たときの形を表したものですが、昔は飛行機や高層建築物がなかったため上からは見えず、横から見た形で捉えていたんです。昔の人は、その形が、牛馬が引く手押し車の“牛車(ぎっしゃ)”のようだと考え、『車塚』と呼んでいました」と向日市教育委員会の渡辺博さん。

排水溝を備えた石室の奥には、権力者が葬られていた石棺が置かれています

物集女車塚古墳では、毎年5~6月に石室の一般公開(無料)を実施。全国から見学者が訪れるほどの人気で、周辺の古墳とともに見て回る人も多いそうです。そのため、阪急「西向日」駅前にある朝堂院案内所では、地元の古墳を紹介した冊子や散策用の地図が配布されています。

今年の一般公開は5月26日(月)〜6月1日(日)午前10時〜正午、午後1時15分〜4時30分に実施。5月15日(木)より向日市教育委員会文化財調査事務所=TEL:075(931)9901=で予約を受け付けます。

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