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嫌いな家事も考えよう

家事を楽しむ、効率をアップする 工夫とアイデア

読者の「好き」の理由には、家事に対する考え方を見直すヒントもいっぱい。 ハウスキーピングコーディネーターの正垣(しょうがき)里恵さんによると、「面倒に思うのは、今のやり方が自分に合ってないからかも。『嫌い』は家事の効率をアップするチャンスです!」とのこと。読者と正垣さんの工夫やアイデアを紹介します。

手にしているハケは、正垣さんオススメの掃除道具。「ホコリは水分や油分によって、頑固な汚れになっていきます。ホコリの段階なら、ハケでササッと払うだけでOK。うちでは、玄関やリビングに常備しています」

ハウスキーピングコーディネーターの正垣里恵さん。整理収納アドバイザーなどの資格を生かし、長岡京市の自宅で「お片づけ&おもてなし教室 おうちカフェ生活」を主宰

掃除/“こまめにコツコツ”を心がけて

洗面台にはカットしたスポンジを。「手洗いのついでに、軽くなでるだけ。目立たない色もいいですし、好みのカラーでインテリアのアクセントにしても」

読者から

日頃からこまめにチャチャッと掃除や片付けをする。習慣になれば、こっちのモノ!」(ちょこっとママサン・51歳)というように、掃除は「ため込まないこと」が大切という意見が多く見られました。
いつもの繰り返しに変化をつけられるよう、「掃除と同時にその日決めたスペースを少し模様替えして、気分転換をしている」(mameこたん・35歳)とのアイデアも。
「エクササイズと考え、『家も体もきれいになる!』と思ってする」(すずらん・38歳)という一石二鳥の発想も参考になりそうですね。

正垣さんから

「こまめに掃除をするには、すぐに作業ができるよう、使う場所の近くに道具を置いておくこと。 掃除がしやすいよう、収納スペースの詰め込み過ぎを解消したり、キッチンやトイレのマットを取り払うなど、“モノの引き算”に取り組んでみるのもいいですね。
ちょっとした拭き掃除ならペーパータオルで代用したり、毎日の掃除は軽量のコードレス掃除機で済ませたり、道具も手軽さや使いやすさを考慮しながら、見直してみては」

洗濯/ゲーム感覚、癒やしの時間と発想を転換

玄関のクロゼットに、子どもの学生服やスポーツウエアを収納。「干す・しまうハンガーは兼用。子ども部屋まで衣類を運ぶ動線も短縮できます」

読者から

洗濯物の量の多さが、悩みのタネという読者の皆さん。「取り込むときは、タイマーで時間制限を設けて一気にやる」(olive・43歳)、「限られたスペースでいかに効率よく干すか、パズルのように考える」(TM・43歳)と、ゲーム感覚で乗り切っている人も。
気分を盛り上げるために、「柔軟剤を時々変えて、気分を変える」(DR・48歳)、「いい香りがすると、心がいやされる」(さとゆうママ・41歳)など、“香り”の効果を挙げる意見も多く見られました。

正垣さんから

「手間や時間を軽減するには、段取りのステップを省いていくのがコツ。
例えば、洗濯物をハンガーで干したら、そのハンガーのままクロゼットにしまって『たたむ』工程をカット。収納場所も、家族の部屋にこだわらず、パジャマや下着などは浴室の脱衣スペースに、コートは玄関に、というように普段の生活動線に応じた場所に置くと、衣類の出し入れの手間が軽減できます。
アイロンがけにストレスを感じている人は、形状記憶素材のシャツを選んだり、襟元や袖口といった見える部分だけ行うのもひとつの方法です」

料理/毎食のことだから、時には手抜きも

冷蔵庫にも一工夫。「取り出しやすい下段にその日に調理するもの、その上に毎日、次に2日に1回食べるものというように、使用頻度に合わせて場所を変えておくと、一見して食品の在庫がわかり、買い物や献立の計画も立てやすくなりますよ」

読者から

面倒に感じたときは、「冷凍食品や市販の総菜を出します。時には手抜きも必要!」(けろこ・40歳)、「家族よりも、自分が食べたいものを優先して作ると、おっくうではなくなる」(FK・52歳)とのこと。
「作った料理に値を付けて、『外食すれば、このくらいはする!』」(MS・68歳)、「自分で考えた調味料でおいしくできると化学の実験気分が味わえる」(りんご・37歳)と、見方を変えることで楽しみを見いだしている読者も。
「子どもから『魔法がかかっているみたいにおいしい』との言葉が。その魔法を私がかけていると思うと誇らしい」(TM・33歳)。特に料理は、家族の反応がやりがいにつながっているようです。

正垣さんから

「1つの料理を作るとき、2品、3品にアレンジできるよう計画。多めに作った料理や下ごしらえした食材を冷凍保存しておけば、イチから作る手間が省けて、ストックを使うと思えば献立も考えやすくなります。
気分を切り替えるには、盛りつけや食器を変えたり、好きな花をテーブルに飾ったりして、食べるシーンの演出を楽しむのもいいですね。普段と違う食卓に、家族の反応も変わるかも」

やりがいにつなげるには、家事に意味付けを

京都のマナースクール「キャリア・ラボ」代表・小松仁美さん。
接遇マナー講師、認定コーチ、キャリアコンサルタントとしても活動

読者から挙がっている、「やりがいがない」「評価されない」といった不満の声。これは、職場でも聞かれる声です。そこで、接遇マナー講師の小松仁美さんに、仕事の視点から家事への取り組み方をアドバイスしてもらいました。

「大切なのは、自分が今、なぜこれをしているのかという 〝意味付け〟です」と、小松さん。
「例えば職場では、お茶くみであっても、その意味を認識しているか、していないかで、おのずと取り組み方や達成感が違ってきます。『お茶を入れないと』と作業する人と、『お客さまに喜んでもらおう』と思っている人では、表情やしぐさの印象まで異なってきます。家事でも、目の前の作業に集中するだけではなく、その意味をあらためて問い直したり、自分なりに設定してみては」

後回しにしないこともポイントと小松さん。
「〝未完了〟の仕事は、常に心に引っかかって、エネルギーを奪ってしまいがち。それが嫌いなものであれば、なおさらです。期限を決めて早めに完了させておくと、心のゆとりや余裕も生まれます」

1つでもできたら、自分を褒めて!

「認めてもらえない」という意見には、「1つでもできたことに満足し、自らを褒める。自身をご機嫌にさせる方法を見つけて、周囲の評価に左右されない自分を作っておくことも大切です」とのこと。

それでも、家族の反応があるとうれしいもの。「気持ちは言葉にしないと伝わりにくい。ポイントは言い方で、『今日の料理は頑張ったから、感想を言ってもらえると、うれしいな』と、率直に自分の気持ちや感情を伝え、主張したいことはお願いの表現に変えると、相手も受け入れやすくなります。家事もスキルやキャリアのひとつであり、日々の積み重ねは、自分自身を変えることにもつながるはずです」

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