私のパートナーを紹介します

師匠の技術と思いを、コテとともに引き継ぎたい/田中昭義さん

「磨きゴテは最後に使います。この後ろの壁のように、ツヤツヤに仕上がるんですよ」と田中さん

パートナーの磨きゴテ(右)と、田中さんがオーダーメイドしたコテ。持ち手には、職人それぞれの焼き印が刻まれています。「師匠のまねをして、私もカタカナの焼き印にしました」(田中さん)

左官職人である田中昭義さん(42歳)が「いろいろ種類があるんですよ」と見せてくれたのは、道具箱にぎっしり入れられたコテの数々。大きさや形が違い、用途によって使い分けます。

「最近はステンレスのものも多くなっていますが、私は鋼にこだわっています。扱いは難しいですが、仕上がりの風合いが違ってくるんです。特に思い入れがあるのが、独立するときに師匠からもらった磨きゴテ。もともとは師匠が愛用していたもので、私にとってはお守りです」

師匠とは、田中さんが大学卒業後、10年間修業していた左官店の先輩。

「その店に育ててもらい、一人前になれました。憧れの存在だった師匠は30歳ほど年上だったこともあって、親のように接してくれました」

別れの日、思いがけず渡されたのが磨きゴテ。口数の少なかったという先輩は、はなむけの言葉の代わりに自分の道具を贈ってくれたのです。言葉がなくても、激励の気持ちは田中さんにしっかりと伝わりました。

「独り立ちした当初は頼れる人と離れ、心もとない思いでしたが、磨きゴテが師匠の代わりに私を見ていてくれているようで。恥ずかしい仕事はできない、と気が引き締まりました」

そんな田中さんの目標は、優れた技術を持つ師匠のように、磨きゴテを使いこなすこと。

「このコテに見合うような技術を、私も身に付けていきたいです」

技術や職人としての思いも、道具とともに次の世代へ引き継がれていくのかもしれませんね。

ネコのノエルが家族を笑顔にしてくれます/団野明日香さん・華保さん

「以前1カ月ほど私が入院したときも、家族を笑顔にしてくれていたようです」と明日香さん(左)。「母がいなくていつもより静かでしたが、ノエルが家の中を明るくしてくれました」(華保さん)

ノエルを飼う前、団野さん一家が13年間をともに過ごしたジェニュイン

「ノエルはわが家の5代目のネコ。『リビング京都』の『リビングサロン』のコーナーに掲載されていたのを、夫が見つけたのがきっかけでした」と話す、団野明日香さん(45歳)。昨年の12月、生後2カ月のネコと出合いました。

「華やかなクリスマスをイメージし、みんなを明るくしてくれるようにと願い『ノエル』と名付けました」(明日香さん)

活発な性格のノエルは動きも俊敏。「穏やかだった前のネコとは大違いです」と明日香さん。ノエルが家に来る前、13年間ともに過ごしたというのが、ジェニュインです。

娘の華保さん(19歳)にとって、小さいころから一緒だったジェニュインは妹のような存在で、いなくなった寂しさもひとしお。「しばらく落ち込んでいましたが、ノエルが心を癒やしてくれました。いつも私の後ろをついて歩いて、寒い日は布団にもぐってくることもあったりと、寂しいと感じる暇がなくなりましたね」と話します。

明日香さんは北海道出身で、実家は牧場。ネコと暮らしていると、自然の中での生活を忘れずにいられるのだとか。

「動けばご飯がおいしく感じる、焦らずにゆったり過ごせば気持ちが落ち着く、ネコはそんな当たり前のことを私たちにあらためて気づかせてくれます。ノエルはまだまだ若いので、これからも元気を分けてもらおうと思います」(明日香さん)

読者のさまざまなパートナーたち2

19歳の誕生日、仏師の父の後を継ぐための修業中だった私に、「細かい仕事にはこれが便利やろ」と父がのこぎりをくれました。「切れなくなったらいつでも研ぎ直すからな」と言っていた父は20年前に亡くなり、私は木彫師に。父に教わったことを大切にし、木と向き合っています。(竹内勢津子さん・46歳)

わが家の愛犬・来夢(らいむ)とは、12年前から毎日をともに過ごしています。今年3月に病気になりましたが、手術をして再び元気に。いつも一緒にいることが当たり前でしたが、病気をきっかけに存在の大きさがわかりました。(磯部亜衣さん・48歳)

英語に携わる仕事をしています。高校生から使っている英和辞書は、海外に滞在したときも肌身離さず持っていました。「英語が生かせる仕事をしたい」という夢がかなったのも、この辞書のおかげです。使い込んでボロボロになってきましたが、これからも活用していきます。(すずらん・39歳)

新入社員のころから、ずっと使っている電卓。計算の多い営業事務の仕事で重宝してきました。上司に手取り足取り指導されていた私も、入社して15年。今では後輩に仕事を教える立場になりました。古びた感じがこれまでの経験を語っているようで、自信を持たせてくれます。(れいこ・40歳)

10年前に亡くなった祖母はおしゃれな人で、近所へ買い物にいくときはいつも日傘をさして出かけていました。亡くなる前にくれたその日傘は、「私も身ぎれいにしなくては」と思わせてくれる品。シャキッと美しい祖母の姿が目に浮かぶ、お出かけのおともです。(こまぐろ・42歳)

自動車免許を持っていない私。生活の足となっているのが自転車です。15年前から使っていて、子どもが小さいときは前と後ろに乗せ、幼稚園の送り迎えをしていました。すりへったタイヤを交換して使ううちに、ますます愛着が湧いてきています。(YW・43歳)

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