変化を楽しむと、生活がより豊かに

変化に対する心構えとは

突然の変化に対応しなくてはならないとき、自分の意思で変化に挑戦するとき…。2面では、同志社大学心理学部教授の鈴木直人さんにそんな変化への向き合い方を解説してもらいました。


教えてくれたのは

同志社大学心理学部教授・鈴木直人さん。専門は感情心理学、環境心理学、精神生理学

〝変わる〟は、〝変える〟

同志社大学心理学部教授の鈴木さんが、変化の例として取り上げたのは“転居”。

「1面のYOさんのように、転居を“変化のチャンス”と捉えるのか、そうでないか。気の持ちようでその後のいろいろなことが大きく異なると思います。新天地では人間関係も一新、“変わる”と同時に“変える”チャンスと捉えてみてください」と鈴木さん。

「『この転居は自分にとって望ましいこと』とポジティブな考え方ができると、自分に有益な情報が多く入るようになります。情報が多くなると、選択の幅が広がりますから、良い状況をつくることができます。このようにポジティブスパイラルが生まれると、物事は自然と良い方向に動き出すものなんですよ」 

その逆で、良いところに目を向けない、良い情報をも切り捨てるなどネガティブな気持ちになってしまうと負のスパイラルが起こってしまうのだとか。それが原因で、“転居ノイローゼ”になる人もいるといいます。

「知らない土地に引っ越した人は、好奇心を持って何かひとつ積極的にその場所のいいところ、好きになれるところを見つける努力を。名産品や観光スポットなどでも構いません。また、地元の人と良いコミュニケーションがとれると、その土地をさらに好きになることもあります。まずは、近所の人へのあいさつから始めましょう。そんな努力を続けることで、変化にうまく対応できるようになりますよ」

これは、転居だけではなく、さまざまなケースに応用できそうですね。就職をした、PTAの会合に参加するようになったなどの場合も、その場所の“いいところ探し”からスタートしてみませんか。

人間関係の構築には〝ゆとり〟が必要

環境の変化は人間関係の変化でもあります。新たな人間関係を構築するときには、「人には皆、さまざまな側面があることを認識することが大切」と鈴木さん。

例えば、第一印象でおとなしいと思っていた人が、大声で笑っていると意外に感じるもの。この人はこういう人と決めつけず、こういう面もあるとゆとりを持って理解すると相手を受け入れやすくなるのだとか。

新しい環境に苦手な人がいる場合、その人の違う面を探すのも対処法の一つだそう。そうした面を見つけて接すると、相手の気持ちが変化することもあると鈴木さんは言います。

ところで1面で紹介したYOさんは、明るい性格になるための手段の一つとしてジャズダンスを始めたそう。このように、変化を求めて習い事などに通う人もいますね。

「これは変化というより、自己目標を実現するための方法といえそうですが、やりたいことを見つけるのはいいこと。『トライするのは自分のため』という価値観があればきっと自分の成長の糧になるでしょう」

読者に聞きました 変化にまつわるエピソード

独身時代、会社勤めをしていたときは、わずらわしさから地域の行事に参加しなかったんですが、結婚後はそうもいかない状況に。自分自身も地域の人との交流が大事だと思うようになっていたこともあり、積極的に関わるようになりました。すると、少しの会話でもさまざまな情報を得られるし、仲良くもなれる! 本当に良かったなと思います。変わろうとする気持ちを持てば(少し勇気はいりますが)、ちょっとしたきっかけでうまく交流でき、みんなに溶け込めるのではないかと思います(カン太・60代)

腰痛の持病があるため立ち仕事が難しくなり、思い切ってプラスチック製品を組み立てる内職をすることに。家事をさっさとすませて内職の時間に充てるなど、家にいる時間を有効に使えるようになりました(TM・40代)

20歳で就職。いろいろな人、いろいろな考え方、いろいろな世界に接するたびにショックを受けることもありましたが、それらを受け入れてきました。〝変わること〟を余儀なくされていたのです。ですが、そういった体験を通して、地味で暗かった私は、すっかり明るく、人見知りをしない人間に。今では、どんな悩みにも対応できる力が身に付きました。どーんと私にまかせない!って感じです(こまぐろ・40代)

人見知りの性格のため、近所の同年代主婦が集まる、ちょっとした立ち話や井戸端会議の輪の中に入っていくのに苦慮していました。ですが、「聞き上手になろう」と気持ちを切り替えることで楽に接することができるようになりました(しゅわちゃん・70代)

小学校から高校まで一貫性の学校に通っていたとき。いつも明るく元気な自分でいるのがしんどく、みんなとは別の大学へ進みました。すると自分らしくいることができ、自分は自分でいいんだと思えるようになりました(りんご・30代)

フランス語を習い始めたことがきっかけで、周囲の環境が変わりました。専業主婦だと出会わないような職業や年齢の人たちとクラスメートになれて、活気ある日々を過ごしています。始めるまではすごく迷ったのですが、一歩踏み出して良かったです(K・50代)

子どもが小さかったときのこと。食事がなかなか進まない子どもをガミガミと怒っていましたが、「これも個性だ」と自分の気持ちを変えたら、お互いが楽になれました(HMB48・40代)

育児が大変で自分のヘアスタイルに時間をかける余裕がなくなったため、髪を20㎝バッサリ切りました。ロングからショートボブにチェンジ。慣れなくて、しばらくは鏡を見るのも嫌な日々を過ごしていましたが、友人から「若く見えるよ」と言ってもらい、うれしい気分に。「髪を切ると若返り効果があるのでは?」とプラスに考えています(みーちゃん・30代)

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