“出あい”感じる お出かけスポット

法然を訪ね、新たな宗派を開いた親鸞/安養寺(東山区)

「よい水が湧き出たことから、この辺りは“吉水”という地名で呼ばれていたそうです」と若村さん

八坂神社から円山公園を抜け、東山のふもとへ。突き当たりに、塀に囲まれた門が見えてきます。こちらが安養寺。「門のちょうちんを見てください」と、若村さんが早速ポイントを教えてくれます。

「“吉水草庵(よしみずそうあん)”と書かれています。およそ800年前、浄土宗を開いた法然が教えを広めるため、こちらに築いた拠点です。この場所で法然は“南無阿弥陀仏”を唱えると救われる、と説いていました。そこへ訪ねてきたのが親鸞(しんらん)です」

親鸞というと、浄土真宗の開祖ですね。

「29歳のとき、親鸞は20年にわたり修行をしていた比叡山から下山します。そして聖徳太子のお告げに導かれ、法然に会いに来たのだそうです」

70段を超える石段を上がると安養寺の本堂があり、振り返ると美しい景色が見られます。

「これまでの仏教とは異なる念仏に対する法然の考えは、親鸞に大きな影響を与えます。その意思を受け継ぎ、親鸞も独自の教えを唱えていきました」

法然との出会いが、浄土真宗が生まれるきっかけとなったようです。

DATE
東山区円山町624(市バス「祇園」停から徒歩15分)、TEL:075(561)5845。午前8時~午後5時

法然を訪ね、新たな宗派を開いた親鸞/安養寺(東山区)

芸能上達を願って訪れる人も多い新熊野神社

足場が作られていて、幹をぐるりと一周できるようになっています

京都の熊野信仰の中心地として創建された新熊野(いまくまの)神社。紀州の熊野に対し、京都の“新しい”熊野という意味が名前に込められています。

「640年ほど前、ここで室町幕府3代将軍・足利義満は一人の少年を目にします。境内で猿楽の能を舞っていた、当時12歳の世阿弥です。世阿弥は父・観阿弥とともに能を披露していました。その素晴らしさに感銘を受けた義満。親子を屋敷に呼び寄せて援助し、能の振興に貢献します」と若村さん。

義満の保護を受け、新しい演目を次々と生み出した世阿弥。能の芸術性は高まり、武家が楽しむ芸能へと進化していきました。

境内はかつては今の何倍もの広さがあったそう。能舞台が設けられた位置ははっきりしていませんが、「能」と書かれた記念碑が世阿弥の功績を伝えています。

「上皇手植えの樟(くすのき)」も見どころの
一つ。樹齢は約900年と推定され、世阿弥が訪れた時代から境内に根を張っていました。「触ると健康長寿の御利益があるといわれています。特に“おなかの神様”として親しまれていますよ」

DATE
東山区今熊野椥ノ森町42(市バス「今熊野」停から徒歩3分)、TEL:075(561)4892。参拝自由

洛北、そして遠くには嵐山の風景も/圓光寺(左京区)

「左手にある、寺の建物に囲まれたところが十牛之庭。緑あふれる景色が見下ろせます」(田中さん)

「境内奥の東照宮周辺で、“絶景”に出合えます」と田中さんがいうのは、一乗寺の住宅地の中に立つ圓光寺(えんこうじ)。

「景色以外にも魅力がたくさんある寺なんです」と、田中さんは白い砂が敷き詰められた枯れ山水の前で立ち止まります。「こちらは数年前に造られた奔龍庭(ほんりゅうてい)。雲海から竜が出てくる様子を表しているんです」

中門をくぐると十牛(じゅうぎゅう)之庭や竹林と、自然豊かな光景が。こちらを抜けて裏山の坂を上がり、東照宮に向かいます。

「東照宮には寺を開いた徳川家康が祭られています。この周りの杉木立の幹と幹の間から垣間見られる眺めが気に入っています。では、もう少し進んでみましょう」

木々が開けた場所では、眼下には境内、そして京都市街の景色が見渡せます。
「正面にあるのが愛宕山ですね。洛北の眺めだけではなく、嵐山の方まで見通せますよ」
坂道を歩くのは1分もかからないほどですが、山頂に上がったかような気分になれました。

DATE
左京区一乗寺小谷町13(市バス「一乗寺下り松町」停から徒歩10分)、TEL:075(781)8025。
午前9時~午後5時。料金/大人500円、中学生~高校生400円、小学生300円

塔頭から見渡す京都の山々/泉涌寺悲田院(東山区)

「法」は少し左へ移動すれば見ることができます

東山泉中学校の南を通る道は木々に覆われ、緑一色。新緑の季節に歩くにはぴったりです。

西向きに進むと、正面に泉涌寺悲田(ひでん)院が見えてきました。泉涌寺の塔頭(たっちゅう)の一つですが、少し離れたところに位置しています。約1400年前、聖徳太子が貧しい人や身寄りのない子どものために造った施設が、悲田院の始まりだといいます。

「初めて訪れたときは、思いがけない光景に出合えてうれしくなりました」と田中さん。境内の北側に案内してくれます。そこには、門前の道からはまったく目にできなかった眺望が!

「大文字の送り火は見えませんが、山自体は五山すべてが望めます。比叡山の山頂も、少し頭をのぞかせていますね」

身近な町並みも、見下ろしてみるとなんだか新鮮。「あの建物は何?」「うちはどの辺りかな」と、家族で盛り上がれそう。

DATE
東山区泉涌寺山内町35市バス「泉涌寺道」停から徒歩10分)、TEL:075(561)8781。
午前9時~午後4時30分

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