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気になる肩書 あの人いったいどんな人?

一体どういう活動をしているの? 今回は、謎めいた肩書を持つ4人を紹介します。何かに夢中になること、こだわることってすてきです!

「13年前、京都に来たときには既に、この髪形でした」

日本髪生活研究家 三条葵さん

  • 行きつけの「京都三条会商店街」の店で買い物中の三条さん。この日の髪形は「先笄(さっこう)」。江戸時代から明治時代の既婚女性の髪形だといいます。約3時間かけて結うそうです
    ※取材協力/フルーティスト果心

  • 日本髪は、髪を五つのブロックに分けて順に結っていくそう。「腕を上げっぱなしなので本当に大変なんです(笑)」

  • 日本髪生活研究家・三条さん所有の髪を結うときの道具。左の黒い「つとがた」と、その上に置かれている細長い形状の「びんはり」は手作りです

取材当日、きれいに結い上げられた日本髪と和装姿で現れたのは、日本髪生活研究家の三条葵さん。待ち合わせ場所は、道行く人も多い商店街。さすがに視線が集まりますが、当の本人は「子どものときから日本髪で生活するって決めていたんです」と余裕の表情です。

京都に移住してきた13年前には既にこの髪形で生活をしていたとのことで、この装いで買い物にも行き、自転車にも乗り、レストランにも行くそうです。

「一度結うと5~7日はそのままです。そのため、この髪形でも寝やすいよう枕も手作りしてしまいました」と三条さんは笑います。

枕も、ということはほかにも何か作っているのでしょうか。聞いてみると、髪にボリュームを出す「つとがた」や髪のサイドを支える「びんはり」、長い毛を束ねた「かもじ」も手作り。自作の道具で、自分で日本髪を結っているのです。

そんな三条さんが日本髪に出あったのは、幼いころに見た母の成人式の写真でした。10代後半には、舞妓(まいこ)の髪も手掛ける〝髪結いさん〟に結ってもらう機会があったのだそう。

「そのときに本格的な道具を初めて見たんですが、それに圧倒されて。道具を作り始めたのはそれからです。教えてくれる人がいなかったので、文献を読んで、見よう見まねでしたが」

ところで、三条さんが日本髪で生活を送ることにした理由は何だったのでしょう。

「ずっと日本髪を〝残したい〟と思っていました。だから、いずれは自分の人生をかけて体現しようと。最初は技術が足りなくて、定期的に結うことができなかったんですけどね」

〝日本髪生活研究家〟を名乗りだしたのは3年前のこと。

「少し注目してもらえるようになってきたので、昔の人がどんなふうな装いで生活していたかを表現したいなと思って。独学なんですが(笑)」

今では会員制交流サイト(SNS)などを通じて共感の声や質問なども届くようになってきているとか。

「維持や手入れが大変ですが、やっぱり好きなので。今後もこのスタイルを続けていきたいです」

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