この資格、この経験、あると長く働けるかも

ニーズが高いのは、資格と経験を兼ね備えた人

趣味を追求して仕事につなげる道も

では、どんな資格・経験があれば再就職やその後の就労に役立つのか、引き続き、中野さんに話を聞きました。

「希望する職種、業種や就労形態、条件にもよりますが、まず『キャリアコンサルタント』『保育士』『管理栄養士』など、国家資格がないとなれない専門職を目指す場合は、当然その資格が必須です」

資格がなくても仕事にはつけるけれど、あると有利というケースも。

「定年後の高齢者に人気の仕事の一つが、マンションの管理人。『マンション管理士』を取得していれば優先的に採用される可能性があります。高齢者全体を見ると資格や特殊なスキルを持つ人は少ないので、進みたい業種に関係がある資格を一つでも多く持っていれば、採用で有利になるかもしれません」

ただ、資格さえ取ればいいというわけではないようです。

「採用する側が最も重視するのは経験と実績です。ニーズが高いのは、例えば経理の実務経験があって、なおかつ簿記の資格がある人や、介護業界での経験が豊富で、『社会福祉士』や『介護支援専門員』の資格があるというような人。できれば現役のうちに将来必要な資格を取った上で、その資格を生かした実務経験を積んでおきましょう」

とはいえ、環境によっては資格や経験を得る機会がない人もいます。

「そんな人には、語学、料理、書道などの趣味を追求する延長で、資格や検定、仕事につながる経験にチャレンジすることをおすすめします。一つの例が、歴史の知識や英語力を磨いて観光ガイドを目指す道。最初はボランティアでも、経験を重ねることで知識やスキルが増え、就労のチャンスは広がると思います」

保育士・ヘルパーの資格があると有利

子育てや家事の経験も強みになります

登録した会員に、主に自分の体力に合ったペースで取り組める臨時・短期の仕事を提供している「京都市シルバー人材センター」。総務課担当課長の新谷聖治さんにも、高齢者が活躍するために、どんな資格や経験が役立つか聞きました。

「高齢者向けの臨時・短期の仕事の中で最近多いのは、保育や介護の周辺の清掃や家事などの生活支援サービスです」

新谷さんによると、保育や介護の現場では、「保育士」の資格がある人、「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」か「実務者研修(旧ホームヘルパー1級)」を修了した人は、優先的に受け入れられる傾向があるそう。

「ですが、これらの資格がなくても活躍できる場は十分にあると思います。例えば保育の現場は人手が足りていないので、保育士を補助する業務を行う人材が必要とされています。仕事を始める前に講習を受ける必要はありますが、子育てや家事の経験があれば役立つはず。一般家庭での家事援助や子育て支援サービスの仕事も増えていますよ」

毛筆でのはがきの宛名書き、賞状の筆写などの依頼も多く、習い事や趣味で書道をしていた経験があると役立つ可能性も。さらに、京都ならではの仕事もあるとのこと。

「最近人気なのが、中学生の修学旅行の付き添い業務です。京都の町を歩き慣れていて、交通網を熟知していることが条件。歴史や寺社に関する知識も生かせます」

60歳オーバーでも元気に働いています

接客経験を生かして料金所スタッフとして活躍

上村憲子さん(65歳)

上村憲子さんは現在、高速道路の料金所スタッフとして働いています。「前職はスイミング教室のインストラクター。20代から28年間続けましたが、55歳のときに将来を見すえて退職し、この仕事に応募しました」

後に人事担当者から、受け答えが明朗でハキハキしていたことが採用を決めた理由だと言われたそう。

「インストラクター時代に常に人に接していたため、接客力が磨かれたのだと思います」

料金所では、自動料金収受システム(ETC)や自動料金精算機(MIC)の動きをモニターで監視。機械の使い方が分からず困っているドライバーがいれば、インターホンで案内することも。臨機応変でスムーズな対応にも、長年の接客経験が生かされているよう。

夜勤も多い勤務形態ですが、「スイミングで養った体力のおかげで苦にはなりません」と上村さん。

60代で一念発起して産業カウンセラーに

安田能也(よしなり)さん(65歳)

60歳のときに電子機器メーカーを定年退職した後、いったん外資系の半導体メーカーに再就職した安田能也さん。

「ここでメンタル面の不調を抱える若手社員に接したことがきっかけとなり、産業カウンセラーの資格を取るために7カ月間の養成講座に通い始めたんです」

受講中、現在の職場である社団法人の理事長から声をかけられ、カウンセラーとして働くことに。

「採用の一番の決め手は資格を取得見込みだったことですが、これまで業種の異なる7社に勤めてきた経験も評価されました」

というのも、産業カウンセラーの主な仕事は、多様な業種のクライアント企業の社員からの悩み相談に対応すること。経験豊富な安田さんなら、悩んでいる人の気持ちや立場を理解しやすいと考えられたよう。転職をしていることもメリットになるのですね。

「今の仕事では、悩んでいた人がカウンセリングで立ち直っていく姿を見ることに、やりがいを感じています」

修学旅行の付き添いが生きがいにつながっています

関和子さん(75歳)

京都で生まれ育った関和子さんは、40代半ばまで地元企業に勤務し、結婚を機に渡米。20年以上のアメリカ生活の後、67歳で日本に帰国しました。

「このとき、今後の人生を考えて、健康と生きがいのために働こうと京都市シルバー人材センターに登録しました」

特に人と関われる仕事を希望していたため、同センターで修学旅行の付き添い業務の講習が始まると、すかさず参加。この業務では、5~6人のグループに高齢者のスタッフ1人が付き、京都の観光地を案内して回ります。もともと土地勘はあった関さんですが、付き添いスタッフになってからは歴史や文化も積極的に学ぶように。「京都・観光文化検定試験(京都検定)」3級にも合格したそう。

「案内時に心がけているのは、中学生たちの希望や興味を優先すること。喜んでもらえると励みになります」と関さん。

全国各地から来た中学生たちとの会話から、新しい知識を得ることも多いのだとか。

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