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京都のアート事情

平成の百文様
プロジェクト
時代の空気をまとう文様を後世に

「唐長」が江戸時代から受け継いできた600枚以上の板木の一部。手前が「吉兆草」、その左が「丸龍」という文様です

右京区のアトリエで、板木を手にするトトさん。「板木に彫られた伝統的な文様には、縁起物のモチーフも多く、吉事や幸せを願う人々の思いが込められているんですよ」

ふすまや壁紙などの室内装飾に用いられる、文様(柄)を施した唐紙(からかみ)。文様を彫った板木に絵の具をつけ、版画のように紙に写し取って作られます。江戸時代には広く普及していたというこの文化は、明治時代以降、衰退していったのだそう。

江戸時代から続く唐紙店「唐長」の唐紙師・トトアキヒコさんはこの現状に危機感を抱いていたといいますが、専門の彫り師がいないこともあり、新たな文様を生み出すことにちゅうちょしていたと話します。

ところが今年、板木の制作を委ねたいと思える職人と出会ったことから、新たな展開が。トトさんが中心となり、100種類の文様と版木を作る「平成の百文様プロジェクト」が立ち上がったのです。

「一般公募、企業やブランドなどとのコラボレーション、唐長の考案という三つの方法で文様を集め、100種を選定します。3~4年かけて板木を制作した後は、刷り上げた唐紙を京都市に寄贈。文化施設などで展示するほか、一部は街灯や地下鉄などのデザインに使う協議をしています。今を生きる人たちの祈りや願い、時代の空気を反映した文様を、後の世に残していきたいと考えています」(トトさん)

一般公募は12月31日(月)まで受け付け予定。募集要項などは、「雲母(きら)唐長」ホームページ(https://kirakaracho.jp/hyakumonyo/entry/)に掲載。

プロジェクト
「Theatre
E9 Kyoto」
現代舞台芸術の作家育成のために、劇場が誕生

「Theatre E9 Kyoto」の完成イメージ図。1階右側に吹き抜けのホワイエ(ロビー)、左側に劇場スペースとカフェ、2階に控え室ができる予定です

劇場に改修されるのは、鴨川沿いに立つ築51年の2階建ての建物

「アーツシード京都」のあごうさん。「クラウドファンディングサイトで一般からの支援もお願いしています」

京都市南区東九条に小劇場をオープンさせようというプロジェクト「Theatre E9 Kyoto(シアター イーナイン キョウト)」。この企画を立ち上げたのは「一般社団法人アーツシード京都」。背景には、2015年から2017年にかけて、京都市内の小劇場5館が次々と閉鎖したことがありました。

代表理事のあごうさとしさんは、「アーティストが新しい試みにチャレンジする場として、低料金で利用できる小劇場の存在は欠かせません。このままでは、京都で才能ある現代舞台芸術のアーティストが育ちにくくなってしまう。そこで、2015年ごろから、舞台関係者数人で小劇場の創設を目指して動き始めたんです」と話します。

小劇場は、2019年夏ごろのオープン予定。不動産会社が長年、使っていた倉庫を改修して作られます。客席数は100席程度で、催しによって舞台や客席を自由にレイアウトすることが可能。主に演劇やコンテンポラリーダンスが上演されますが、映像やアート作品の上映・展示もできるそうです。

「地域で愛される劇場を作るため、夏祭りの開催を手伝ったり、子ども向けに映画づくりのワークショップを開いたりと、地域住民との交流も大切にしています」(あごうさん) 

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