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肉と長寿の関係

「好きな食べ物は?」との問いかけに「お肉です!」。そう答えるシニアは、元気で長生きをしているイメージがあるのでは。それには、肉の持つパワーが関係しているよう。シニア世代と肉との関係を探りました。

芦田務さん(88歳)・富喜子さん(85歳)

「夫婦そろって肉が好物。今日はしゃぶしゃぶです」と話す芦田さん夫婦。務さんは「肉を買ってきたのは私。料理は妻にお任せですが、毎日自転車で買い物に行っています」。そんな2人の自慢は〝健康〟。病気で入院をしたことはないそうですよ。

水野正子さん(95歳)

80代までは遠泳をしていた水野さん、黒髪ですが、染めてはいないとのこと! 若い頃から冷蔵庫に肉を常備していて、今も1人前をペロリ。「すき焼きは大好き」と、鍋に次々と肉を入れていきます。今度は、家族とステーキを食べに行くのを楽しみにしているのだとか。
撮影協力/和食さと 嵯峨店

肉を楽しんできた
団塊の世代がシニアに仲間入り

最近増えているという〝肉好き〟のシニア。厚生労働省の2016年の調査(「国民健康・栄養調査」)によると、70歳以上の1日の肉類摂取量の平均値は66.3g。10年前の47gから増加しているのが分かります。

「これは、団塊の世代がシニア層に仲間入りしたことが関係しています」とは、京都ノートルダム女子大学現代人間学部・教授の加藤佐千子さん。

「日本では、675年に肉食禁止令が出されています。仏教が伝わったことも影響し、長い間肉食文化が根付きませんでした」

変化が起きたのは1960年代。高度経済成長期に食生活が洋風化し、家庭の食卓に肉が登場し始めました。

「団塊の世代以降は、食教育が進みました。肉の栄養や調理法についても学び、日常の食事に取り入れるようになったのです」

たくさんの人が料理教室に通いだしたのも、この世代。洋食のメニューや作り方の情報が広まっていったのですね。

「近年は高齢者を含む幅広い世代が外食を楽しんでいます。ステーキ店、焼き鳥店など、肉を手軽に味わえる飲食店が増えたのも、〝肉好き〟増加の理由の一つです」

加藤さんは、歯の健康にも注目。

「しっかりと肉をかむには歯が大事。シニア層は口腔(こうくう)ケアに対して意識をしてほしいです。また、年を重ねるにつれ食が細くなると、筋力が減り足腰が弱ってきます。そこで役立つのが良質な肉類の摂取です。しっかりと食べ、栄養をとってもらえたらと思います」

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