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ソボクな疑問がいっぱい!甘いものと辛いものの謎を探る

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トウガラシに含まれているカプサイシンには、どんな長所と短所があるのでしょう? 「これはすべての香辛料に言えますが、食欲を増進させること。それから、カプサイシンにはエネルギーの代謝を活発にする働きもあります」(田口さん)。確かに、トウガラシ入りの料理を食べると、体がポカポカします。ダイエット効果があるともいわれますが…? 「ある研究で、日本人女性が、韓国人女性が1日に食べる平均的な量とと同じだけトウガラシを10日間食べたところ、内臓脂肪量が減少したという結果が出たそうです」 だからといって、食べすぎはNG! 「カプサイシンには、胃酸の分泌を促進する働きもあるので、食べ過ぎると胃壁を荒らす恐れもあります。胃にかいようのある人、慢性の下痢の人、心臓の弱い人、手術後の人などには、あまりおすすめできませんね」

この疑問を解く鍵となるのは、トウガラシに含まれる辛み成分・カプサイシンだそう。 「夏になると感じやすい“体が重い”“だるい”といった状態は、体の調子を調節するシステムである自律神経の機能不全によって起こるもの。カプサイシンには、自律神経を刺激する働きがあります」(伏木さん) ちなみに、自律神経には、体の働きを活発にする交感神経と、心や体をリラックスさせる副交感神経があります。「カプサイシンはその両方を刺激し、機能を向上させるので、だらけたときにも体がシャキッとします。私は二日酔いの日にカレーが食べたくなるんですが、これも体がカプサイシンを欲しがってるんです(笑)」(伏木さん)

「実は、私たちは辛みを、味覚ではなく痛覚で感じています。辛いものを食べると、脳神経の一つで、触覚や痛覚をつかさどる三叉(さんさ)神経が刺激され、ピリピリとした痛みを感じます。これが辛みの正体なんです」(伏木さん) ちなみに、辛いものを食べると、この痛みを和らげようとして、脳内では鎮痛作用のあるエンドルフィンという物質が分泌されます。「これが私たちに快感をもたらします。辛いものがやみつきになるのは、このためだといわれています」 このほか、トウガラシを食べると、熱くなる感覚もありますね。 「舌には、温度受容体と呼ばれる、温度を感じる分子が何種類もあるのですが、TRPV1と呼ばれる、43℃以上の熱いものに反応する分子はカプサイシンに反応します。トウガラシ自体が熱いわけではないのに、食べると熱く感じるのはこのためです」

舌の構造が違うの? それとも遺伝!? 「どちらも違います。辛いものが平気かどうかは、後天的なものです」(伏木さん)。ちなみに、料理にたくさんトウガラシを使うタイや韓国でも、小さな子どもはみんな辛い味が苦手とか! 「10~12歳ごろに慣れてくるといわれています。トウガラシがたっぷり入ったおいしいものを食べることで、『辛い=おいしい』ということを体が覚え、次第に辛さを心地よく感じるようになるのです」 ところで、辛いものが好きになると、どんどん普通の辛さでは物足りなくなるのはなぜ?  「人は、辛さに慣れるんです。でも、最初に辛いものを味わったときと同じ感激を得たいと思い、より辛い、刺激の強いものを食べたいと思うようになるためです」

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